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GW企画 #6
文豪ストレイドッグスより『ルイス・キャロル』を深掘り!
ルイスside
僕はルイス。
ルイス・キャロルだ。
|英国《イギリス》出身で、元軍人という経歴を持った異能力者。
これでも祖国では『戦神』やら何やら呼ばれている、ちょっとした有名人だ。
そんな僕は今━━
「……にゃん」
━━猫になっていた。
(いや何でだよ)
どうして猫になっているのか、心当たりが全く無い。
異能力は使えたんだけど、異能空間に行ってどうしろと。
本当、どうしたらいいのかな。
「にゃーん」
言葉も話せないし、詰んでいる。
誰か猫語分かる人とかいないのかな。
いや、居るわけがないんだけどね。
とにかく探偵社にでも向かうか。
いつもはもっと早く着く筈だったのに、凄く遠く感じた。
猫になり、多分足が遅くなっているのだろう。
見える景色も違くて、少し面白い。
「……にゃ」
探偵社の前まで来て気がついた。
猫の状態で探偵社のある階まで行くのは、難しい。
冗談抜きで日が暮れてしまう。
エレベーターを使おうか迷ったけど、普通に釦が押せない。
詰んだ。
え、どうしよう。
気が進まないけど、マフィアに向かうかな。
ここで立ち止まっているよりは全然いい。
「お前、どこの縄張りの奴だ」
そんな声が聞こえて、僕は振り返った。
珍しく、辺りには誰一人いない。
聞き覚えのない声だった。
もし僕をこんな姿にした犯人なら、今ここで━━。
「こっちだよ! そこの黄色い猫!」
しばらく探してみると、いつの間にか猫達に囲まれていた。
まさか彼ら━━猫の声が聞こえているのか。
色々と思ったことはあったが、とりあえずは面白がっている場合じゃない。
「この辺じゃ見ない顔だな。名前は?」
「ルイス」
「この街に来たからには、俺達のルールに従ってもらうぜ!」
どうやら僕は新入り認定されているらしい。
まぁ、ツッコミを入れるのも面倒なので暫くの間は放置しておこう。
「分かったか!」
「あ、うん」
半分ぐらい元の姿に戻る方法を考えてたから聞いていなかった。
元より聞くつもりはないけどね。
さっきから僕に話しかけてくるリーダーらしき猫は、ちゃんと僕のことを見ていないらしい。
このまま話を進んでいった。
「お前達、一体何をしている?」
「り、リーダー!」
「誰がお前達のリーダーなんてやるか!」
猫達が敬っている猫に、見覚えがあった。
「春野さんのお家の……ミィちゃん?」
「お前、リーダーに向かってなんて言葉遣いをしている!?」
「別に構わない。ついてこい、ルイス」
返事をする前にミィちゃんは歩いていってしまった。
僕もついていくことにする。
「あの、ミィちゃ──」
「お前さんはどうしてそんな姿になっておるんじゃ?」
この猫、僕の話を遮るの好きだな。
「……分からない、と言えば良いかな」
正直なところ、猫になる前の記憶がない。
どうしてこんなことになったか、全く見当がつかなかった。
本当、困ったな。
「それで君は、どうして僕が元々猫じゃないって知ってるの?」
「人間の時のお前さんを知っているからのぉ……」
そうとしか言えないらしい。
ミィちゃんは、一体何者なんだろうか。
何故か、彼の話し方を僕は知っている気がする。
「ほれ、とりあえずは元の姿に戻ると良い」
立ち止まったかと思えば、目の前には太宰君が居た。
「春野さんのところの猫ちゃんと……金色の猫?」
「にゃー」
「……目の色が緑って、まさか」
太宰君が触れると、僕は光に包まれた。
気がつくと、人間の姿に戻っている。
「ルイスさんも被害にあっていたんですね」
「も?」
話を聞いたところ、異能力の暴走で市内の異能力者の一部が猫化していたらしい。
太宰君が異能力者に触れても解除されることはなく、未だ行方不明者がいるという。
「まぁ、僕も助けてもらったし手伝うよ」
君はどうする?
そう問い掛けるとミィちゃんは「にゃあ」と返事をした。
まるで万物を見通しているかのような彼を、僕は知っている。
「……これ、本当に僕だけなの?」
猫化事件が解決した数日後。
僕は探偵社でそんな質問をしていた。
「与謝野さんは?」
「|妾《アタシ》は聞こえないねぇ」
「え、敦君も?」
はい、と申し訳なさそうに敦君は言う。
「どうやらお前さんしか聞こえてないようじゃな」
「本当に何でなんだろう……」
あれから僕は、何故か猫の話している内容が分かるようになっていた。
後遺症とされているけど、与謝野さんや敦君を始めとした猫になっている異能者達は何ともないらしい。
僕だけとか、意味が分からない。
「……もしかして君のせいだったりする?」
さぁ、と彼は微笑むだけだった。
普通に投稿忘れてました。
すみません。
てか、ルイスくんってミィちゃん君呼びで良いのかな?