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Auftakt#10
鋭い矢が耳元をかすめる。熱い痛みが耳に走った。
人間たちから逃げようとすればするほど,緊張でバランスが取れなくなる。もともと私•ルリは飛ぶのが苦手なのに。
白藍色だった空が,群青色に染まっていく。小雨が降ってきた。
天気まで私たちを嘲るの?涙と雨粒が入り混じって,下へと落ちていった。
ぼやけた視界に,矢の雨がうつる。いつのまにか風はとても強くなっていた。矢から逃げるのに意識を取られて,風のことを忘れていたんだ。
風の抵抗で,思うように飛べない。バランスが崩れ,私は落ちーそうになった。
セイジが,私の腕を掴んでくれていた。ほっとして,体にこめた力がゆるむ。その瞬間,セイジは私の体重をこらえられなくなり,落ちた。
あっというまにセイジは人間たちに運ばれていく。
私は,その光景を見ていられなかった。そのまま,遠くへと飛んだ。胸がつぶれるくらい,つらかった。
ごめん,ごめんね,セイジ。それしか考えていなかった。
私のせいだ。私が弱いから,セイジは。
こんにちは♪はるです。
この間名前をかのんにしたんですが,なんだか違和感があってはるに戻しました。
それはさておき。このアウフタクトシリーズも2桁‼︎‼︎‼︎‼︎うれしい‼︎‼︎
これからも書いていくので,よろしくお願いします!