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君に、恋する。(2)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋した、小5女子。
最近、杉本くんと積極的に話していたせいで、友達の|花奈《はな》や|蘭羅《らら》とあまり話せていない。
そう思いながらも、スマホを見ていると…
「ピロン♪」
「花奈からのメッセージの着信音だ!」
私は少し声をあげた。
スマホを確認すると…
花奈「今すぐうちに集まって!実は、うちの犬の[ルン]が逃げたの!散歩中に!ひとまずこれから蘭羅と蓮にも連絡するね!」
菜乃葉「うん!今すぐ行くね!」
「送信、っと。じゃ、行こう!ママー!ちょっと急ぎで花奈んちいってくるー!」
「気をつけるのよー」
バタン。
私は家を出て、花奈の家へ急いだ。
着いた…!
私の息は切れて、ハアハア言いながらも、やっと着いた!
私も犬を飼っているから、大変さはわかる。
だから、急いで来たけど…
まだ、誰もいないし、花奈もまだ家の外にはいない。
ちょっと、急ぎ過ぎたかな?
5分後。
杉本くんが家に着いた。
「は…早いね、」
少し返事がおかしくなった。
「実は、俺も猫飼ってて…大変な事態だと思って、走ってきた」
「へ、へー。あっ、えと、わた、私も、犬飼ってて…だから、わ、私も、急いで来た、の…」
すごく引っかかりながらも、なんとか言った。
わ、わゎー!
き、緊張するー!
2分後。
「あっ!花奈!」
「2人とも、もう来てたの?待たせてごめんねー。私も準備できたから、あとは蘭羅を待つのみだよ!」
3分後。
「あ!蘭羅!おーい!」
「ごめん、先に来てた!」
「蘭羅!もうみんな揃ったよ!」
「あっ、みんな!ごめん、遅かった?待たせた?行こ!」
隙間や垣根、公園の小さな木の下など、隅々まで探した。
「どこー?おーい。」
「ルンちゃーん?」
「ここいそうだな」
「なかなか見つからないね…」
もう1時間くらい経ってしまった。
みんな、春にもかかわらず汗だくだ。
すると。
「あっ!みんな、来て!」
杉本くんの声で我に返った。
「いた!ルン…!ルン…!」
花奈が駆け寄って抱いた。
「「「良かった…!」」」
公園の人通りの少ないエリアにいたのだ。
ルンも、抱かれて尻尾をフリフリ。
にもかかわらず泥だらけだ。
「ルン!これからはもう、逃げないでね…!ずっと、一緒にいてね…!」
しばらくして、杉本くんが立った。
「じゃ、俺はそろそろ帰るね!またな!」
私は笑顔で杉本くんを見送って、私たちも解散した。
「良かった。ほーんとに良かった!」
私は小さく呟き、さっきまでの出来事を思い返した。