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遅刻の理由
「ちょっと遅くなる。」
唐突に来た彼からのLINE。
待ち合わせ時間はもう過ぎてしまっている。
私はそっとため息をついた。
#絢香#
今日はとても体が軽い。
なぜなら彼と待ち合わせをしているから。
今日は会社を定時でやめて、夕暮れの繁華街に二人でいく予定だ。
仕事を切り上げ、スキップするように退社する。
「彼氏さんと待ち合わせ~?」
同僚の美里がにやけながら近寄ってくる。
「フフーン。」
それだけで伝わったようだ。美里は手をヒラヒラとふりながら去っていった。
待ち合わせ場所は近くの公園。私は時間より早めについて、ブランコにの柱にもたれかかった。
待ち合わせ時間から10分過ぎ、20分過ぎ、30分過ぎた。
ピコーン
「ちょっと遅くなる。」
はぁ。とため息が出た。
「わかった。」
私はすっかり暗くなってしまった空を見上げた。
寒い。
コートの裾を合わせ、もう一度ため息をついた。
はっはっ。
吐く息が白い。
行きを切らしながら、目的地へと駆けた。
「おい!」
俺はブランコの側にたたずむ人影に向かって言った。
「絢香!」
街灯がつき、お互いの姿がはっきり見える。
「大輝!」
ハッとした風に彼女が振り返る。
「悪い。遅くなった。」
寒かっただろう。不安にさせてしまったかもしれない。
「何で...」
「これ、受け取ってくれないか?」
懐から小さな箱を取り出して、中を見せる。
方膝をついて、絢香の顔をじっと見つめる。
その顔には困惑と、怒りと、驚きが同時に浮かんでいた。
「絢香。俺と結婚してくれ。」
彼女の顔が泣きそうな風にクシャットとなる。
「これって。」
「俺の気持ちだよ。どうか受け取ってほしい。」
罵倒される覚悟でいた。
待ち合わせに遅れ、いきなりプロポーズ。
寒いなか長い時間待たせてしまった。
「はい。」
思わず顔をあげ、そして状況を理解した。
綺麗な手をとり、薬指に指輪をはめる。
俺たちは、
私達は、
満天の星空に祝福され、結婚を誓い合った。
初めて書いて見ました。
いかがでしょうか?
他の作品もよろしくです。m(._.)m