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雪女とすべての真相
「あのこが、リンダ?」
あんな子が、人類を滅亡させたなんて…!
「あ、そこのお姉ちゃんたち、まだいたんだ?ふぅん」
怖い。幼いけれど、油断しちゃだめだ。
「まあいいや、お姉ちゃんたちは悪そうじゃないもん。でも、計算は完璧だったはずなのになあ」
うーんと、リンダは首を傾げた。
「そこの巫女のお姉ちゃんたちは、ルナさんやラグナさんが助けたよね?」
「そうよ、だって夜羽夢はわたしたちを信じてくれたから」
「だよね。じゃあ、そこの登山家のお姉ちゃんは…」
登山家じゃないけれど。
「雪女さんが守れるような隕石じゃないだろうなあ」
「そうよね」
おかしい。何かが、おかしい。
「そこのお姉ちゃん、何か、こう…可能性を秘めている気がする。ただの人間じゃないんじゃないかな?だって、普通の人間は生き残れないわけだし」
「…名前は、なんていうの?」
フィガーがたずねる。
「羽鳥瑠芽です」
「ハトリ、ルメ…ハトリ!」
「あの、ハトリ!?」
リンダとフィガーが、何か思いついたように驚く。
「あの、ハトリ様?」
ルナもラグナも、どうしてしまったんだろう?
「ああ、これで全てが分かったわね」
雪菜がそうつぶやく。
「だって、一般人は技なんてマスターできないわよ」
「そうだけど」
「ハトリ様は、いわば最高神なのよ。今はべつの人が最高神を引き継いだけれど、前までハトリ様がいちばん偉かった。普段は人間の生活を好み、暮らしていた。でも2年前力尽きた。だからあなたは、人間と神さまのハーフなのよ、これで謎が解けた」
…ああ、なるほど。
「そうだったのか…。力尽きた父が、最期に遺したモノだった…」
「神様は、力尽きても何か大切なもののためならひとつだけ動けるの。ハトリ…いや、あなたの父は、あなたのことを本当に大切にしていた。そういうことでしょう?」
「…!」
声にならない嗚咽を出しながら、わたしは泣いた。
わたしは、わたしは、父に大切にされてきた。なら、これから、この先を大切にしないと。
「…のこりを、共に過ごしましょう?」
「…うんっ…」
ありがとう、お父さん…
わたしは、決めた。雪菜たちと、楽しく暮らそう。
それが、きっと、お父さんの望むことだから。
「また、旅をしよう?」
「そうね」
わたしたちは、また、ゆっくり歩み出した。
最終回〜!