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希死念慮
死にたい。
ふと、そう思った。
何の前触れもなく、生きることに意味を見出せなくなった。
美味しいご飯を食べ、友達と語り、笑い。充分幸せな筈だ。それなのに、涙はぽろぽろと流れ続け、希死念慮は止まることを知らない。
(死にたい、死にたい、死にたい。生きていたく、ない)
幸せでありながら死という救済を望む自分は、とんだ業突張りだ。
そんな自分に嫌気が差す。
死にたい、死にたい..そう考えていても実際に死ぬことなんて自分にはできやしない。
結局自分は何処まで行っても、臆病で傲慢なのだ。
「自分が居なくたって、誰も気付きやしない」
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円を使った縄が天井から垂れている。犍陀多の気持ちが、少し分かった気がする。
椅子に上り、首に縄を通す。
「もう、悔いはない」
椅子から降り、気道が圧迫される。
てててん♪てててん♪
電話だ。
(鬱陶しい..ようやく死ねるのに、、!)
段々と呼び出し音が小さくなる。視界も霞み、頭も回らなくなる。
(ようやく、しねる)
目を閉じ、最期の時を待つ。
ブチッ、という音と共に背中に強い衝撃が走る。
結局首に濃い痣ができただけで。
救いの糸は、また自分を地獄の底に落とした。
もう、自分が死にたいと思えない時は来ないだろう。