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『嘘』
ある日、人間の頭の上に文字が出るようになった。
文字、と言っても、『正』か『嘘』かだ。
どうやらこれは人の言っていることが嘘か本当かを表しているらしい。
と、ニュースキャスターがTVで言っていた。
そのキャスターの頭の上には『正』と出ていた。
「……あー、ひまだな…。」
そう言った俺はふと鏡を見る。
そこには『嘘』と出ている。
今日は日曜で、課題はまだやっていない。
つまり、今暇ではない。
「…課題やるかぁー」
それから数ヶ月たった。
今でも尚、頭上の字は出続けている。
だが、今だこれに関する正確な情報は誰も掴めていない。
別にあまり生活に支障はないが、人と話しているとどうしても気になってしまう。
「はぁ…なんなんだこれ。」
「この世界自体が、夢…とかじゃないよな……。」
ふとそんなことを思って、
その‘‘『正』か『嘘』かを頭上に表示するもの’’に
尋ねてしまった。
「これは夢だ。」
と。
……その判断は間違っていた。
出たのだ。
いや、出てしまったのだ。
『正』
と。
作 にもの