公開中
虎の王に恋をする。
ノリで書いてみた。好評でしたらシリーズ化するかも。とりあいず読んであげてください。
「ねえ、今のトラ様見た〜!?ヤバいくない!?めっちゃ飛んだよ、かっこいー!」
「ホントだ、わ、またシュート!すごいすごい!」
「やっぱりかっこいいー!」
クラスの一軍女子の目が♡になって見ているトラ様、というのはうちのクラスで1番かっこいい男の子のことである。そして、私―|四ツ夜琥珀《よつやこはく》も密かに恋心をいだいている男の子のことだ。私とトラ様―|須藤大雅《すどうたいが》はいわゆる幼馴染という関係にある。小さい頃から家が近くて、同じ小学校だった。そのときは大雅も確かにイケメンではあったけど、ここまで女子から人気を集めてはいなかった。春休みを終えて中学生になってから、大雅は変わった。髪は更に艶が出て、髪の色は濡れたように黒いのに目は透き通るみたいな茶色。肌は白いまま。背はまだ伸びるようで今は165cmもあるそうだ。
大雅がこんなに遠い存在になったのはいつからだろう。前はもっと身長も心も近くてもっと仲が良かった。今はただ私がクラスの女子と同じように、更に腕を上げた大雅のバスケしている姿を見るだけだ。
---
体育が終わり、HRを終えるとクラスの女子たちが私に話しかけてくる。
「琥珀ー!今日暇?この後さ、ミスド行こうよ!」
「あ、|柑奈《かんな》も行くー!|莉央《りお》ちゃん何で私のこと誘ってくれないの?」
「おまえには言ってないよ、まあいいけど」
私はこの子達みたいにスカート折ってメイクとネイルをして学校に行っているほどギャルなわけじゃない。私は無難な言い訳で断ることにした。
「ごめん、行きたいけど実は今月のお小遣い使いきっちゃって…」
「琥珀は顔面かわいいけどビンボーだからなー」
「いいよ、|美夢《みゆ》誘うから」
「琥珀ちゃん来ないのざんねーん!」
「ばいばーい!」
私は断って靴を履き替えて、学校を出る。下校はいつも一人だ。
「おい、琥珀!」
低くて、でも柔らかい声がして、肩を捕まれた。私は反射的に振り向く。声がした時点で分かっていたけれど、大雅だ。びっくりするほど綺麗な茶色の目が近い。今思ったことだが、形もアーモンドみたいに整っていて、整形クリニックの写真にあるようなお手本みたいな二重だ。
「今日、一人か?」
「あ、うん」
「久しぶりに一緒帰ろうぜ。」
すごく驚いた。正直、今にも緊張して逃げ出したいが、私は平然を装って答える。
「うちら家近いじゃん。もう着くよ。」
よく考えたらあまり不思議なことではない。私と大雅は家が近いんだし、今日は部活のない日だから、ここで大雅と出くわさない方が不思議である。でももうこれ以上隣にいると、期待してしまいそうになるのでもうここから離れたかった。
しばらくの沈黙の後、大雅が答える。
「…なあ琥珀。なんで最近俺のこと避けてるんだよ」
「え、ねえ避けてなんかないよ」
動揺を隠しきれず視線をそらしてしまう。私は大雅が好きだ。でもこんな私が大雅と結ばれる資格なんかない。だから二人で下校して至近距離で話してもらって見つめられるなんてあっていけない。相手からしたら、避けてると思われても当然だ。
「じゃあなんで目そらしたんだよ。あってるんだろ?」
「だって大雅は中学生なって変わったじゃん…」
「どこがかわったんだよ。俺ってそんな嫌なヤツなのか?」
気の所為かもしれないが、大雅は少し怒っているように感じた。あいつは人に滅多に怒らないのに。
「分かんないんだね、自分が女の子に人気なの」
だから私も少し強気になって言い返した。私達の気持ちと関係を神様も見ているのか雨が振り始めた。
そんなことを話してると私の家についた。私達はいつもここでお別れだ。
「じゃあね大雅」
私が逃げようとすると、私の手を掴んだ。少し力が強かった。
「待てよ、要するに俺は、」
そこで大雅は一回黙ってから言った。
「ちゃんと俺のこと見ろよ!」
私のことを見つめてそう言い切る大雅は、かっこよかった。茶色の目がまた近くなる。雨に濡れて髪の毛が更に黒く見える。ほんの少しだけ、いつもより輝いているような気がした。
そしてまた沈黙する。このときの大雅はとってもかっこよくて、やっぱり私なんかが見てはいけない気がした。先に沈黙に耐えられなくなったのは大雅のようで私を掴んでいた右手を離して顔を押さえた。顔を隠してしまったことへの寂しさと、大雅の白い大きな手が濡れて綺麗でかっこいいなっていう気持ちと、やっぱり私には見る資格がないという気持ちがまた交差した。
大雅が顔をかくしたまま言う。
「お前さ、気づいてないと思うけど、」
そして右手を外してまっすぐに私を見て言った。頬が少し赤くなっているように感じた。
「琥珀だってすげーかわいいんだよ!」
「…………」
硬直して動けない私を置いて大雅は背を向ける。
「あ、待って大雅」
私はそういうと家の玄関からビニール傘を出して渡す。
「大雅の家、もうちょっと先でしょ。使って」
「サンキュ」
そういうと大雅は右手を上げて去って言った。
大雅はかっこいい。髪は濡れたように黒くて目は透き通る茶色。声が低く柔らかくて、背が高い。バスケが得意で、性格は自分のことを王様かなにかと思っている感じがあるけど優しい。本当にかっこよくて女子から人気がある。私は今は疎遠になったただの幼馴染。でも、少しだけ…
「期待しちゃってもいいのかな、大雅…」
私の独り言は、家の中に響いて消えた。
頑張ったー!よければ感想教えてください。個人的に女子軍の名前考えんのが1番つらかった。