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暁前の微光【7話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
底に埋もれた弱者達よ。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
彼が外に出たがっているのは、カラが一番よくわかっていた。
同じ部屋で、同じ家で、毎日を過ごす兄弟としては当然のことだろう。
カラもLOUISと外に出て遊びたかった、しかし、それを止めるのが弟としての役割だから。
LOUIS「なぁ、お願い。」
--- 「いいよ」 ---
寺・周「…えっ」
LOUIS「えっ?」
3人「______え?」
カラ「なんやねん…」
LOUIS「えっ、ええの??」
カラ「もう…いいよ、だってあんなに行きたいアピールされたらさぁ」
期待していた。それでも許されないであろうと、そう思っていた言葉がカラの口から聞こえたことに驚きを隠せない三人がいた。
寺、周、そしてLOUIS。そのうちに三人の顔が喜びに満ち溢れていくのが分かった。
LOUIS「よっしゃああああああ!」
寺「出れるんや!LOUIS!外!!」
周「な!いつから行く?」
カラ「明日やな!そんで________家出ってことにしよ」
LOUIS「……家出?」
カラ「LOUISを外に連れ出すことをお母ちゃんに言うても、多分、と言うか絶対。許してくれへんから。それに、なんか家出の方がスリルあってイイやん!」
LOUIS「あほか」
カラ「やかましいわw」
寺「ほんまあほやw」
周「ww___あ、なぁ。うちらもついていってええ?」
空気の入れ替えのため、5センチほど開けていた窓から雪が入り込んで溶けた。
明日からは1週間の大型連休だ。丁度いいから、とカラは二人の頼みを承諾。
LOUISも二人がいた方が心強い、と言うことだった。
それから30分程度、他愛もない会話を終えた後。少女達は
「また明日」
と言って帰路についていった。
明日の朝、7時半にもう一度この家に集まることにした。
各自、家出の用意を済ませる。お金は必須。それから食料。
防寒着もしっかり着て、朝ごはんを食べてくるようにと。
---
夜ご飯を終えて二人の兄弟は部屋へ続く階段を登っていた。
その階段はほのかに明るい。下の部屋の電気も、上の部屋の電気も届かないが、天井についている淡い光を出す蛍光灯が階段を照らしていたのだった。
部屋に入り、2段に分かれたベッドに潜り込む。
下段はカラ。上段はLOUIS。昔からこの配置だ。
しんしんと降る雪が部屋を冷気で包ませ、布団と毛布をかけていても少し、肌寒かった。
ピ、という音が聞こえ機械音が静かに響く。
LOUIS「____寒いな」
カラ「ん」
LOUIS「なぁ……なんで、」
なんでわざと『家出』ってことにしたん。
そう言いかけて、止める。
LOUIS「やっぱり、なんでもない」
カラ「…ん」
ベッドの板の隙間から下を覗くと、弟はもう目を閉じかけていた。
あと5分もあれば寝てしまうだろう。
カラ「なぁ」
先ほどまで虚な返事ばかりしていた彼が話しかけてきたことに驚く。
LOUIS「………ん?」
カラ「下降りて一緒に、寝るか?」
LOUIS「_____あほ」
ふふ、と微かに笑って言葉を返す。
その言葉を聞いていたのか、聞いていなかったのかは知らない。
少し経つと下から呼吸音が聞こえてきた。
それを聞いているうちに、兄も深い眠りに落ちていった。
続く
暁前の微光【8話】乞うご期待。