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インスタグラマーの私、なぜか芸能人に好かれた件について
12月半ば東京内のとあるカフェで2人の女が撮影をしていた
2人の女が撮影をしていたといってもお互いがお互いを取り合うのではなく片方の女がさっきからずっともう片方の女を撮影している
さっきから撮られ続けている女はそのカフェの新作を片手にポーズを変えたり表情を変えたりしている
「いい感じに盛れてる?」
「バッチリ!」
「おけ、ありがと」
そう言って撮影してた女からスマホを受け取る
「クリスマス限定の新作飲みにきた!」
という文と共にさっき撮った写真を投稿する
その後しばらくファンからのリプを確認する
「今日もビジュ強」
「その新作美味しいですよね!」
「え待ってここ昨日行った!今日行けばよかった…」
などとそれぞれが自由に反応する中DMが送られてきた
(なんだなんだ…もしかして知り合いにこのアカウントがバレたか、?)
アカウントはプライベートと仕事用で分けており基本このアカウントにDMをしてくる人はいない
基本というかこのアカウントにDMが送られてきたのは今日が初だ
別にやましいことをしているわけではないのでアカウントを教えてもいいのだが言いふらすことでもないので周りにはほとんど活動のことは言ってない
私はあくまでも大学生兼インスタグラマーっていうだけであって別に有名になりたいわけでなくどちらかというと毎日静かに穏便に過ごしたいタイプだ
でも最近は人気が出てきてインスタのフォロワーはとうに8万人を突破している
基本顔は一部隠して投稿しているのでバレないと思ったがフォロワーが8万人いれば知り合いの1人や2人に活動がバレると言われても納得できないことはない
(結局は誰が送ってきたんだ、?)
少し緊張しながらDMを見る
送り主のアイコンを見てみると知り合いではなさそうだ
(とりあえずよかった…)
と安心したが知り合いのサブ垢という可能性もなくはないので一応プロフィールを確認する
|瀧 瑠衣斗《たき るいと》
そう書いてあった
(待て待て待て、見間違いの可能性もあるだろ)
そう思ってもう一度名前を確認する
|瀧 瑠衣斗《たき るいと》
やっぱりそう書いてあった
(いやでも同姓同名の可能性…!)
そう思って名前の下の自己紹介欄を見る
23歳
birthday→2.7
「おいおい…嘘だろ…?」
「さっきからスマホガン見してどしたーん?ってえ!?」
「ちょ、由良うるさい」
「いやうるさいも何も梨紅羽が芸能人のインスタ見てるなんて珍しいじゃん!しかも今人気のイケメン俳優の!」
「見てるっていうかこの人からDM来た」
「えすご!有名人じゃん笑」
「ぜんぜん有名人じゃないしそもそも偽垢かもじゃん?」
「よく見てみ?公式マークついてる」
そう言われてもう一度食い入るように画面を見る
(マジじゃん…ちゃんと公式マークついてる)
「でも間違えてDM送ったのかもよ?」
「それはないんじゃない?」
由良がそう言いプロフィールの下の方を指差す
一言 俺のrikuhaが今日も可愛い
「ooh…マジかなんで私なんかを可愛いとか言ってんだよ、バカかこいつ」
「実際梨紅羽ビジュつよつよきゃわたんじゃん!あと芸能人にバカはやばい笑」
(何笑ってるんだよ!私如きが可愛いわけないだろ!お前の方が可愛いわ)
と内心ツッコんだ
こんなこと言ってるがほんとに由良は可愛い
そのせいか大学内ではすごいモテてる
週3のペースで告白され、月に2回は芸能界にスカウトされる
そんなような子だ
だが当の本人はそういうことに興味はないらしく代わりに写真に興味があるようだ
だからこうして由良の撮影に付き合ってるうちに私もインスタグラマーになったのだけど…
(だから自分のビジュに自信があってインスタグラマーやってるわけじゃないんだけどな)
そう思っていたが物好きもいるらしい
世の中広いもんだな
「で結局なんて送られてきたの?」
「…そういえばちゃんと内容見てなかったな…」
知り合いがどうかだけ知りたくて急いでプロフィール画面に飛んだから全然見てなかった
もう一度DMを見る
そこには読む気も失せる長文が書かれていた
「初DM失礼します!
俺rikuhaさんの大ファンで!マジでリアコしてます!
最近毎日投稿してくれて本当にありがとうございます!
おかげで今日も頑張ろうって思う気になれます
髪型とかファッションセンスが毎回の神ってるし表情とかセンスの塊すぎて…
よく参考にさせてもらってます!
今までこうやってずっとDM送りたいって思ってたけどなかなか勇気出なくて…
今ちょうどここの近くいるのでもし良かったら会えないかなって思ってDMしました!
もし良かったら返信お願いします!お忙しい中すみません」
「もしかしてけっこーヤバいやつ、?」
「かもね」
(なんか熱量凄いし、本人に対しリアコっていうのもヤバいし大体今から会うって…芸能人だからこれ週刊誌とかに撮られたらやべーだろ…それに私よりお前の方が忙しいよ多分())
「でもせっかくなら会っちゃったら?こんな誰もが羨むイケメン俳優と会えることって滅多にないよ!しかも誘ってきたの向こうだし!」
「えー…」
(私はリアコされるぐらい活動ガチってるわけでもないしなんなら本当はファンを作る気すらなかったんだけど…)
「…行ってみようかな」
「お!いいじゃん!!早速返信しちゃえー!!!」
(こうやってイベントでもないのに自分のファンに会うのは不平等だし、良いことではないとおもう。ないと思うけど…)
(折角こうやって勇気出してDMしてくれたんだから少しくらいはいいじゃん?それに近くにいるみたいだし…)
そう思ってDMを返信する
「初DMありがとうございます
私この後とくに予定はないので会いましょう
あとツレがいるんですけど大丈夫ですか?
時間と集合場所はそちらに合わせます」
するとすぐ既読が付き
「わぁーありがとうございます!
全然何人でも連れてきてください!
集合は2時にハチ公前とかでいいですか?」
と送られてきた
「大丈夫です」
そうとだけ返信しDMを閉じる
少しそっけない気もするが他に送ることもないので別にいいだろう
「よし、行くぞ」
「え、?あぁ私も?」
「当たり前でしょ?」
「えぇー…」
由良は困惑したような顔をした
「何かこの後予定あるんだっけ?」
「全然そんな事ないけど…まぁいいやなんでもない!それより何で行く気になったの??やっぱイケメンだから?」
「そう言う訳じゃないし!!別にこの後予定ないしいいかなって」
「ふーん?」
(そうだ、決してイケメンだから、俳優だから会うわけではない決して)
そう思いながら私達はハチ公前に向かった
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