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🌤️くんと☔くん ③
`3.消えた兄 sideアメ`
俺には大好きな兄ちゃんがいる。そんな兄は人気ボーカリストのHAREとしても活動してる。収入は全部俺の学費に費やしているし、バトルも強いし、いろんないいところがある。俺はそんな兄が大好きだった。ある日俺が大学に行くかバトルを始めるか悩んでいるとき、兄ちゃんは『大学に行け』と言ってくれた。僕は嬉しい気持ちと罪悪感が生まれた。本当にこのまま大学に行っていいのかと。すると、兄ちゃんのスマホから着信音が鳴った。どうやらバンドのメンバーかららしい。通話を終えると兄ちゃんは『今メンバーで集まってるらしい。だから僕も来いとのことらしいからちょっと行ってくる』と言い、家を出た。俺はなんだか胸さわぎがした。しばらくするとスマホから着信音が流れた。
『はい、もしもし。』
『アメ!今どこにい⁉』
『え、どうしたの兄ちゃん。普通に家だけど。』
『今すぐ逃げろ!』
『え、うん、わかった。』
俺はなんで逃げろと言われたのかわからなかったが、とりあえず家を出た。兄ちゃんからはガールの格好をしろと言われたのでガールの格好で。ちょうどスクールカーデがあったのでそれを着ている。マンションの部屋から出て、エレベーターに乗る。エントランスについた瞬間、兄ちゃんがなぜ逃げろと言っていたのかようやく理解した。俺は思わず息を呑んだ。それは今兄ちゃんといるはずのバンドメンバーたちがエントランスにいたから。人数を数える。しかし二人いないことに気づき、俺の背中に冷や汗が流れた。
〝まずい、このままでは兄ちゃんが危ない〟
俺の本能がそう伝える。俺は急いで兄ちゃんがいるバンドのクラブハウスまで走った。
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『兄ちゃん!!!!!!』
俺はクラブハウスのドアをガバッと開けた。隣に兄ちゃんと仲が良かったメンバーがいたので少し安堵した。
お兄ちゃんとお兄ちゃんと仲が良かったメンバーのユキくんが事情をすべて話してくれた。
『うーん、そっかー。まぁ確かにお兄ちゃんはかっこよくて歌もうまくて家族思いだからね。妬む気持ちもまあわからなくはないかなー。でも、殺そうとしてるのはちょっと行き過ぎじゃないかなー。』
俺はメンバーが許せなかった。たとえどんな高い壁でも乗り越える。それが最高のバンドなんじゃないかと思った。
『アメくんは俺が引き取るよ。ハレくんはかばいきれない気がする…ごめん。』
『僕はここから逃げる。そしてまた帰って来る。ユキ、アメを頼む』
『あいあいさー』
兄ちゃんがクラブハウスを出てすぐのこと。外から一人のメンバーが入ってきた。俺は思わず身構えた。
『お、ハルカじゃーん。お疲れーい』
ユキさんがフレンドリーに話しかけていたので俺はホッとした。
『あ、ユキくんじゃん。って、ん?ハレくんなにしてんの?女装なんかしちゃって。』
え、あ、俺兄ちゃんと間違えられてる?
『あ、えっと俺はアメって言います。ハレの弟です。いつも兄がお世話になっています。』
『あ、弟くんかぁ。なんで女装してんのー?』
『兄ちゃんが、危ないからって。俺達が住んでるマンションにメンバーたちが押し寄せようとしてるって…。だからここに来たんです。』
『あーおけおけ。その件についてちょっと謝りたいことがあってね』
『はい』
『今回の発端、アタシとユキくんなんだよね』
『え、どういうことですか?』
『んーと。アタシとユキくんはこのバンドはもう終わってるって思ってたのね。その中でもバンドメンバーの仲をぶっ壊してるのがハレくんだとアタシたち思ったの』
『はい』
『で、他のメンバーに…ハレくん以外に「一緒にHAREを殺そう」って言って…』
『は、はい』
『でもそれは嘘でね。アタシたちはこのバンドを解散させたいの。だからハレくんに脱走してもらってファンの人を離れさせたかったの。』
『えっとじゃあ二人はこのバンドを解散させたくて他のメンバーに兄さんのことを殺そうと言った、ってことですね。』
『そーなんだよ。だからこんな事になったのは俺達のせいなんだ。ごめん。』
『アタシも、ごめんなさい。』
『え、別にいいですよ。俺も大学行こうか迷っていたので、これでバトルに潜る覚悟ができました。』
『んーまあ立ち話はここまでにしておいて。俺の家行くかー!』
それから俺はユキさんとハルカさんに色々教えてもらいながらバトルに潜る日々を送った。
こんらえる!どもー作者のTukiraeです!
今回はアメくん視点でしたがどうでしたか?
面白いと思っていただけたら嬉しいです!