公開中
末摘花
情報網とは恐ろしいもので、源優華の噂はあっという間に校内に広まっていた。とくに騒いでいたのは2年3組で、源優華という生徒はいなかった。
「紫…」
「うん、どうしよう。どうしたらいいんだろう。どうしたら良かったんだろう」
放課後に、優華に謝りに行こう。こんな騒ぎになって、申し訳ありませんでした。何か差し入れでも持っていったほうがいいのだろうか。お腹が重いまま、放課後を迎えた。
---
放課後の図書室は、いつもにも増してしいんとしているはずだ。
「ったあ!」
「わ!?」
手短に済ませようと腹をくくった手前、べたん!と倒れ込む1年生の姿があった。
「えーと…大丈夫ですか?」
「うん大丈夫!あはは、また転んじゃった。あっ、阿部さんじゃん!」
わたしの名前知ってるっけ?
丸い童顔を見ると、なんとなく名前がリンクしてくる。
「あ…|赤井瑛菜《あかいえいな》さん」
「うん、赤井瑛菜だよー。なんか暇で図書委員なったけど、やっぱり無理だなぁ」
えへへ、とお尻をさする瑛菜は、美千花と同じ所属だとは思えなかった。
「あの、お団子の子っている?」
「えー?ああ、あの子?いないんだよね、今日。というか、さっきまでいたんだけど…知り合い?」
「いや、知り合いではないんだけど…」
絶妙に噛み合わない会話が続く。
「源優華さん。2年3組の」
「有名な子でしょ?あの都市伝説の。お団子ヘアで、見つかって、その前で本を破いたら食べられちゃうっていう…」
ソースを知りたい。どこから来たんだ、その情報源は。ちっとも正確性がない。お団子ヘアということしかあっていない。
「誰か来た?源優華さんを探しに」
「いや〜、来てないよ。みんな忙しいんだろうなぁ。じゃ、もうすぐ図書室しめちゃうから、バイバイ!」
「ああ、うん…」
瑛菜に押され、仕方なくわたしは帰路についた。
結局、源優華という女子は本当にいるのだろうか。幽霊?精霊?守り神?UMA?よくわからない。だからみんなが探そうとする。わたしもその1人だ。
なら、ある意味わたしも馬鹿かもしれない。
平安時代にUMAはいないよ…