公開中
聞きたくなかった最後の言葉。
頑張って書きました
「もう出てく!」
『待ちなさい!!!』
それが,私が聞いたお母さんの最後の言葉だった。
---
私は林田 麻衣(はやしだ まい)。いたって普通の中学3年生。
友達関係もうまくいっているし,親との仲もいい。
成績もスポーツもTHE 平均点。本当に何もない。なんの特徴もない中3だ。
ある日,そんな日常が一気に崩れた。
---
「もうお母さんなんて知らない!!!」
喧嘩をしてしまった。
なんであんなこと言っちゃったんだろ。あの頃の自分を殴りたくなる。
「もう出てく!」
『待ちなさい!!!』
「. . .」
「どうしよ。」
行くあてもないのに飛び出してきてしまった。
とりあえず友達の家に行くことにした。
「どうしたの!?」
「喧嘩しちゃって. . .」
「ちょっとここにいさせてくれない?」
「もちろん!」
ありがたい。持つべきものは友達。
---
それからしばらくして。
気づいたら大量のパトカーと救急車が近くに走ってくる。
「. . . どうしたんだろ。」
少し心配になった。
だけど,喧嘩したのにちょっとだけしてから帰ってくるなんてしたくない。
そして,スマホをいじって時間を潰すことにした。
すると,一件のニュースが目についた。
「. . . 殺人事件. . . ?」
場所もすぐ近くだ。
「ってことは. . .」
タイトルを見てすぐにスマホを閉じ,家に全速力で向かった。
「もう帰るの?」
「うん。ちょっと気がかりでね。」
そして家に着くと. . .
パトカーが家を囲んでいた。
私はおそるおそる警察に何があったのか聞いた。
「何が. . . あったんですか?」
『殺人事件があってね. . .』
『林田 清美っていう人が殺されたんだ。』
「!」
ショックを受けた。喧嘩して家出したらお母さんが死んでいただなんて。
「__これじゃ. . . 天国のお母さんに合わせる顔がない。__」
『ん?何か言ったかい?』
「. . . いえ。」
どうやら犯人は捕まったようだ。
いや,そんなことはもうどうでもいい。
さっきの友人も小走りで転けそうになりながら駆け寄ってきた。
『麻衣ちゃんのお母さん. . .』
「これからどうしよう。」
お父さんは10年前に事故で亡くなった。女手ひとつで私を育ててくれたお母さん。
そのお母さんはこの世にいないと思うと,涙が溢れ出した。
「. . . __お母さん__. . .」
---
聞いた中でのお母さんの最後の言葉。
あんな言葉で別れたくなかった。あんな言葉を聞いて別れたくなかった。
. . . あんな言葉を聞きたくなかった。必死に私を引き留める顔。
その顔が私の眼球に焼き付けられた。
---
そして私はおばあさんに引き取られることになった。
殺人事件のニュースを見るたびに,パトカーと救急車を見るたびに,
私はお母さんの事を思い出す。
そして,1人でつぶやくんだ。
もう,お母さんは帰ってこないけれど. . .
「. . .」
「__ごめんなさい__. . .」
バッドエンドですね。二次創作じゃないの新鮮。
1252文字。