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私は、世界に拒絶されている
じつは…”八咫神このは”の方が正解だったりして…。
昔々、世界は悲しみの海に包まれていました。
この世界は、残酷だと誰もが思いました。
海は、焼け消え…空は赤く染まり…山は、灰と化し…。
自然と言う自然は消え去っていました。
そんな、世界にポツンと一つの命が生まれました。
10年後。
『世界が崩壊寸前に陥ってしまった〈ナーバス〉から約10年が経ちました。今では、昔と変わらない様な海や川…山等が見られます』
ラジオを付けるとそんな言葉が聞こえてくる。
ナーバス…それは、世界が起こした第3次世界大戦の別名だ。
第3次世界大戦での死者数は脅威の39億人行方不明者は約5億3千万人にも及ぶ。
これほどにまで、酷くなったのは核所持国が一斉に核を放ったためだった。
人間の約3割が死亡し1割弱が行方不明になったという理由から世界全土で〈核の所持禁止、作製禁止〉が条約として作られた。
こんな風に…世界はどんどん新しくなっていった。
私の家も、戻って来て…今では、幸せな家庭が戻っている。
「――!朝よ!起きなさい」
「はーい、お母さん…今、下に降りるから。」
私は、母に呼ばれ…今まで起きた事を考えていた頭をリフレッシュさせ直ぐに下に降りた。
そこには、パンとコーンシチューを用意している母親の姿があった。
「今日は、パン?」
「作りたて、あっつあっつのパンよ」
「それは…美味しそうだね!」
私は、直ぐに席につきパンへと手を伸ばす。
触れていないのに、感じる熱気を手に浴びせながら近くにあったパン切り膨張でパンに刃を入れる。
そう言えば、昔はパンを切る時に「ギコギコはしません!」と言うのが、主流だったらしい。
何故、それが流行ったのかは…今の私では知ることはできないが…。
私は、パンをコーンシチューにつけ口に含む。
「あふあふ…」
あまりの、熱さに口にへんな風に食べてしまう。
「出来たてだからって…もう、遅かった」
「ふぅ~おいしい!」
ようやく、口の中で上手く冷えようやく食べる事が出来た。
しかし、今回の経験を生かし今度からは冷ましてから食べようと感じるのだった。
時計の針が、8時を過ぎようとした時…。
「そう言えば、今日は入学式だったわね」
母が、突然そんな事を言い始めた。
生まれてこの10年言われた事の無い台詞。
“入学式”それは、私にとってはもう古の行事だった。
「じゃ、じゃあ…学校に?」
「えぇ、逆に何の入学式があるの?」
「やった!!早くいこ!…場所は?」
「えぇ、準備しましょうか…場所は…―――学校だから…私が下りてくるまで外に出ちゃダメよ?」
「分かってる!」
私は、そう言いながらも早く学校に行きたい…学校を見て見たいという気持ちでいっぱいだった。
数分後
「まだかな…」
私は、そんな事を言いながら玄関で座っていた。
外に親と一緒に出ないといけない理由は…私には全然分からない。
それについては“教えて貰って無い”から。
「もう、先に出ちゃお!」
私は、母の忠告を無視し玄関を開けた。
ラジオで言っていた、見た事の無い様な幻想的な世界が広がっているのか?
それとも、昔見た世界とはまた別の平和な世界が広がっているのか…私は、心を踊らせながら扉を開いた。
しかし…そこには…【何も無かった】
草も、木も…建物すら…。何も無かったのだ。
「ぇ?」
私は、驚きの余り自分の開いた扉の方を振り返る。
しかし、そこにも…何も無くなっていた。
そう、全て“幻想”だったのだ。
いや、幻想じゃ無かったのかもしれない。
覚める事の無い、“夢”だったのかもしれない。
枯れた地面、血の流れる川、赤く染まる空…変わらない景色…。
このすべては、この世界のすべてだった。
この、場所に…この、土地に…この、世界に…私はただ一人取り残されてしまったのかもしれない。
死ぬ事も、生きる事も…何もできない…だって…
「だって…だれも、教えてくれないから」
私は、戻ってきた。
「現実に」
私は、帰ってきた
「理想郷から」
生きる事も
「死ぬ事も」
「「許されない」」
私は、空から降った“何か”と共に意識を無くした。
私は、世界に…人類に拒絶されてしまったのだ。
お読みいただき有難うございます!
世界に、拒絶された少女のお話し。
また、別の作品にてこの少女のハッピーエンド編を作るつもりです。
それでは、また次の小説で会いましょう!