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会えない君に恋をした私が君に会う話
こころ
私がこの世のどん底にいるとき、君を思い出した。家族は弟を褒めてばかり。私だって優等生演じて頑張ってるでしょ。ねえ、褒めてよ。そう思っていたけど…。私より辛い境遇に立っている彼が頑張ってるのに私が挫けてどうする。頑張っている彼にあまりにも失礼じゃない。どんなことがあろうと頑張る君に…鬼滅の刃の時透無一郎くんに恋をした。会いたい、なのに会えない。このもどかしさ…でも画面越しでも君に会えて嬉しかった。一人で妄想して、たまに現実に戻って落ち込んで。鬼滅の刃の世界に行けたらどんなに良いだろうか。彼を守ることができたのなら…。そう思って暮らさない日はなかった。ある日私は学校が嫌になって授業中にも関わらず教室を飛び出した。逃げたい。彼に会いたい。どうやったら会える?そう思いながら走った。走り続けた。どこに行けば良いか分からないけど、こっちに行かないといけないって本能的に思った。やっと足が疲れた。顔をあげるとそこには何かの建物が倒れたような…瓦礫のようなものが散らばっていた。ここなら休める…?そう思って一歩踏み出した。踏み出した…。そこで私は記憶が飛んだ。次に目が覚めたとき、私は見知らぬ世界に居た。
自分「ん…?ここどこ…。」
辺りを見回してみる。え?嘘でしょ。なんで目の前に鬼が居るの?あぁ、死ぬんだ私。何でこんなことになったんだっけ…。咄嗟に目を瞑る。
自分「痛…くない…?」
恐る恐る前を見た。ねえ、夢なの?なんで…なんで…なんで居るはずのない「彼」が居るの?
ねぇ無一郎くんなんで君が居るの…?
無一郎「……怪我は?」
む…無一郎くんが喋った!?夢じゃないかも!何ならもう夢でいい…!!
無一郎「…話、聞いてる?」
自分「へ!?あっ、はい!大丈夫です!」
か…会話してしまったー!?何これ何これ!!心臓バックバクなんだけど…待って、運命だよね…?私はこれからの無一郎くんの人生を知ってる。なら…変えれるんじゃない?頑張れば…いける…!!
そう覚悟して私は鬼殺隊になり1年経って柱に登りつめた。
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お館様「新しい子だよ。皆仲良くしてあげて
ね。」
自分「ほ…星柱の白月マリアです…!!」
やばいやばいやばい〜!頑張って良かった!お館様の声の安心感やばいね…。そして何より…無一郎くんが私を見てる!!何これ最高。しかもお館様最高すぎない?私を無一郎くんの隣に座らせるなんて…!!神すぎるー!無一郎くんに私のこと覚えてるか聞きたい…!けど無一郎くんは記憶障害があるんだよね、まあ後で治るんだけど。でも、覚えて欲しかったー…。
無一郎「…この前の子だよね。よくここまで来
たね」
自分「…え?」
無一郎「あ、違った…?ごめ」
自分「合ってます。めちゃくちゃ合ってます」
無一郎「だよね。…良かった。」
はい?覚えてくれてた…?嘘、好き。私のこと覚えてるとかもう…彼氏やん。最後にあったの1年前くらいだよね??あ、最高…。
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自分「無一郎くーん!!大丈夫!?ケガ!」
私は無一郎くんの居る部屋に急いで行った。無一郎くんが刀鍛冶の里から帰ってきたのだ。
無一郎「大丈夫だから、静かにしてくれな
い?」
待ってくれ。目にハイライトがあるリアル無一郎くんかっこよすぎる。
なんでこんなにかっこいいの。私怖いんだけど。そしてしばらくして無一郎くんがほとんど回復した。
自分「もう…本当に良かったよ〜…」
無一郎「僕が死ぬと思ったの?」
自分「まあ、そうは思いませんけどね??」
無一郎「暇だし、どっか行く?」
自分「え…いいの!?行きたい!」
無一郎「じゃあ甘味処行こ」
返事をしようとした。けどムリだった。だって無一郎くんが私と手を繋いで歩き出したんだもん。無一郎くんは照れないの?女の子と手を繋いでるんだよ…??ちらっと無一郎くんの顔を見た。
自分「照れてる…?」
無一郎「……うるさい」
えぇ!?待って待って!?好きすぎる!!何その反応…ツンデレ…!?最高…推しの照れ顔はやばいよ!?
無一郎「何食べる?」
自分「私は〜、わらび餅!無一郎くんは?」
無一郎「僕は三色団子。今日人多いから外のイ
ス座って待ってて」
自分「え、でもお金…!」
無一郎「誘ったのは僕だよ。」
自分「あ…ありがと…。」
ねえ、かっこよすぎるよ。こんなの彼氏みたい…好きって伝えたいのに…。
無一郎「はい、どうぞ。」
自分「ありがとう!!」
え、めちゃ美味しい…。現代のわらび餅と桁違いじゃない??
無一郎「美味しい?」
自分「うん!めちゃ美味しー!」
無一郎「1個ちょうだい」
自分「良いよ〜」
無一郎「はい、あーん」
え…?え??待て、待ってくれ。心臓が持たないよ!?あ、でも無一郎くんが待ってる…!
自分「あ…あーん…」
無一郎「ん、美味し…」
あーーーっ!!もう!!可愛い!好き!こんな時間が永遠に続けば良いのに…!
でも、ムリだってわかってる…。
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無一郎「お願いだから足引っ張らないでね」
自分「うん!」
今日は無一郎くんと同じ任務!これは最高すぎじゃない!?戦う無一郎くんを間近で見れるとは…!2人っきりが良かったけど…他の隊士も居るよね。そりゃそうか。
女隊士「きゃあっ!」
自分「大丈ー…」
駆け寄ろうとした。でもその前に無一郎くんが助けた。しかも体を抱き寄せて。
無一郎「……大丈夫?」
女隊士「は…はい…!」
あー仕方ないよね。任務だもん。仕方ない…。キレちゃダメ。てか、この鬼が居るせいで無一郎くんはあの子を抱き寄せた(助けた)んだよね。あーそれは許せない。存在してほしくないね。私の無一郎くんを…
自分「星の呼吸 壱の型 流星群!」
早く死んでよ。無一郎くんが触れる女の子は私だけが良いのに…ってそんな事考えちゃダメだ!同担拒否の血が騒ぐ…!ダメダメ!てか、女の子〜早く無一郎くんから離れてよ。無一郎くんも離してあげてよ。ねえ、私怒るよ。最近折角仲良くなれたのに。
無一郎「一応、蝶屋敷行く?」
女隊士「は…はい!」
ねえ、そのまま行くの?私泣くよ?
無一郎「じっとしてて…。」
女隊士「はい…え!?」
無一郎くん…お姫さま抱っこはダメだよ。私怒っちゃうよ。ねえ、止まろうよ。なんで…なんで…なんで…。
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無一郎「お待たせ。産屋敷邸行こう。」
自分「うん。」
私はわざと早歩きで行った。だって許せないもん。今は無一郎くんと話したくない。絶対傷つけちゃうから…。
無一郎「…怒ってる?」
いちいち聞かないで欲しいなぁ…。でも…
自分「ううん、早くお館様にお会いしたいか
ら。」
ちゃんといつも通り笑顔でそういった。これなら怪しまれないでしょ。そうでしょう?私の演技力褒めてよ。
無一郎「嘘だ。さっきので怒ってるでしょ」
自分「…怒ってないもん」
無一郎「嘘」
自分「嘘じゃない」
無一郎「…嫉妬してるの?」
自分「だったら…?」
無一郎「へぇ、嫉妬したんだ」
自分「からかってるでしょ。」
無一郎「ううん、可愛いなって」
自分「え…?え、え!?」
無一郎「何」
自分「今…可愛いって…!!」
無一郎「言ってない」
自分「もう一回言って!!」
無一郎「言ってないから言わない」
そう言って無一郎くんは私の手を握って歩いてくれた。無一郎くん、好きだよ。そう伝えたいのに、伝えるべきじゃないって思うのはなんでだろう。いつ死ぬか分からないからかな。でも私はこうやって2人で歩けるだけで幸せだと思ってしまう。でも分かってた。もうすぐ終わりが近いこと。今夜無残と戦う。ここで私が無一郎くんを守れば…!大丈夫…今の私は強い!守れはする力を持ってる…!問題は…同じ所に飛ばされるか…。
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もう…!予想通り!無一郎くんと別の場所に飛ばされた…。適当に扉を片っ端開けていこう…!
自分「無一郎くーん!どこぉぉーー!」
ここじゃない…ここでもない…。どこ…どこ!
「ベンッ」
自分「もうー!折角頑張ったのにリセット?」
違う…!無一郎くんがいる…!でも…腕が…片腕が…。
自分「無一郎くん!!」
間に合わなかった。片腕だけ…。
自分「大丈ー…」
あ、やばい…。詰んだかも。後ろにいるのこれ絶対黒死牟だよね。あー…死んだ。いや…いける無一郎くんを飛ばせば被害は私だけ!
無一郎「何すー…」
「ドォォォン」
無一郎「マリアー!!」
だめ…無一郎くん来ちゃ…ダメだよ…。巻き込まれるよ…。ひめじまさん…やっと…来た…。
ひめじま「遅くなった…。」
無一郎「ひめじまさん…!」
ひめじま「マリアについてあげなさい」
無一郎「っ…はい…。」
優しいなぁひめじまさん…。
無一郎「大丈夫…じゃないよね。」
自分「あはは、そうだね。」
無一郎「死なないで…。」
ああ…無一郎くんから抱きしめられる日が来るなんて…。こんなに幸せな死があっていいの…?無一郎「まだ…まだ死なないで…!」
自分「無一郎くんは…優しい…ねぇ…」
無一郎「死んだらダメだよ…。」
自分「なんで…、?」
無一郎「好きだよ…。言うの遅くてごめん…。」
ああ…無一郎くんも同じ気持ちだったんだね…。
自分「私…も…好きだよ…。」
自分「ねぇ…無一郎くん…、」
無一郎「何…?」
自分「もし…生まれ変わって…また出会えたら」
自分「私と夫婦(めおと)になってくれます
か……?」
無一郎「うん…、なる…なるから…。」
ああ…痛みを感じない。最後に無一郎くんの顔を…声を…温もりを感じれて良かったぁ…。
無一郎くん…、
自分「だぁいすき………」
その最期の一言で私は目を閉じた。だから無一郎が何を返してくれたかも分からない。だからいつかわかるといいなぁ…。
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自分「ん…?ここは…。」
目が覚めると元の世界へ戻っていた。けどあの場所ではなかった。
母「良かった…!起きた…!!」
自分「ま…ママ…何でここに…私は…?」
母の説明によると私はあの場所に意識がないまま倒れていたそうだ。驚くべきことにまだ3日しか経っていないらしい…。あっちの世界で私結構っていうか…2年くらい過ごした自信あるんだけど。
やっと退院できた。弟ばかり褒めていた家族も私を甘やかしてくれるようになった。もうこれからはムリに優等生を演じなくて良い…。それに家族と本当の家族になれた気がした。私はあれから何故か力が強くなっていた。あの世界の力がこっちに戻ってもあるなんて…。
自分「そういえば…あの場所はどうなった
んだろう…?」
ふとそう思ってその場所に行った。うげ…誰か居るし…。てか何でこんなとこに人いるの?その人が振り向いた。うわ、気まずー……
自分「え?」
謎「え…?」
自分「無一郎くん…?」
謎「マリア…?」
ああ、本当に転生ってあるんだ…。
そう考える前に体が動いて無一郎くんを抱きしめていた。
自分「会いたかった…。」
無一郎「僕もだよ…!」
自分「なん…でここに……?」
無一郎「なんか、急にここに来なきゃ…って思
ったんだ」
無一郎「そしたらマリアと会えた…。」
こんな幸せなことある…?いや、あった。今目の前で、この瞬間で。
自分「最期のときの…約束覚えてる…?」
無一郎「もちろん。マリア…」
無一郎くんが膝をついた。
「僕と結婚してください。」
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