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焼
第三次世界大戦の真っ最中私は重要な役割を担っている。
日本が宣戦布告されてから一日も経っていない今日。
私はこの地域一帯を逃がすために声が枯れるまでアナウンスし続ける。
早く安全なところに。シェルターに隠れてと。
放送室のような部屋は大きい窓があり地域全体を見渡せる。
白い部屋に差し込む夕日が部屋をクリーム色に塗り替える。
そこにポツンと立つマイクに私は叫び続ける。
日が沈んでいき部屋に影を作っていく風景が私を焦らせる。
ふと窓を見るとオレンジ色の流れ星のようなものが空から降ってくる。
息が詰まった。
あれは星なんかじゃない。
警戒していた「原子爆弾」だ。
遠いはずなのに光が目に焼き付けられる。
建物で落ちていくのが見えなくなった。
ドスンとなにかが落ちる音が聞こえる。
その瞬間強い光が目を刺す。
続いて鼓膜が破れそうな音とともに衝撃が伝わってきた。
見えないはずの音や衝撃がはっきりと見えた。
部屋の窓は粉々に割れ建物が壊れ始める。
逃げ遅れた。
走り出そうとしたが足首に鋭い痛みが走る。
割れた窓ガラスが刺さってしまった。
早くシェルターまで走らないと。
建物を出て近くはないシェルターへ向かう。
少し走ると簡易的な避難所が見える。
半壊してコンクリートが山積みになっている。
皆別のところへ逃げようと動いているので駅のホームのようにごった返している。
もうそう遠くへは逃げられない。
怪我をした足が鉛のように重い。
血は垂れ流しで傷口は抉れている。
通りかかったおじさんがふと私の足を見る。
無言で包帯を取り出し私の足に巻くと去っていった。
皆自分のことで必死な中、人の優しさに触れた。
今日見た夢です。
起きたとき手が震えて呼吸が苦しくて辛かったです。
ちゃんと熱かったし苦しくて痛かった。
でも当時の人はこの何倍もの苦しみを体験したんだと思うと怖くなってきます。
私の命が尽きるまで原子爆弾の恐ろしさは忘れません。