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第3人生ー2
大学受験の日。教室に入ると、既に空気が戦闘モードに入っていた。受験は戦争、中学や高校の時より空気が怖い。
しかし、トイレに行って戻ると、置いていたはずの筆箱がない。
まさか……。
試験会場を見回す。そこには……。
「阿川くん!」
「あぁ、佐倉くんか!一体どうしたんだい?」
へらへらと笑う阿川がいた。
まじか、志望校が一緒だなんて。クラスが一緒になったことがなくて、ここに入れるほどの学力があることを知らなかったし、想像もしてなかった。
「僕の筆箱は?持ってるでしょ」
「決め付けるなんてひどいよ~佐倉くん!まぁ、落とし物として僕に届いてたんだけど!」
は~いどうぞ、とおちょくるように筆箱を渡してきた。
本当に何がしたいんだ、こいつは。
合格からの2年は、高校と大して変わらない感覚のままだった。相変わらず学校は楽しいし、阿川はうざったいし、それはさておき夢へ近づいている実感も少しずつ湧いてきた。
そんな平凡な毎日が変わったのは、大学3年、小学校への教育実習を目前にした夏だった。
中退者が出た。
そんな噂がたったのだ。
最近あいつの嫌がらせが減って比較的穏やかに過ごせるようになってきた矢先の出来事。
……数日後、それが阿川のことだと知った。
僕より成績のよい生徒への嫌がらせが発覚したのだそうだ。
僕は教員採用試験を1発で合格し、中学校の理科を教える教師としてまた中学校の一員になった。
――ここまでが、12年前の話。
「せんせートイレっ!」
「先生はトイレじゃないから!早く帰っておいで!」
あっという間に36歳、アラフォーを名乗れる歳になってしまった。
12年やってきて初めての1年生。すごい確率だ。
1年生はまだまだ小学生って感じがする。
「じゃあ続けます、双子葉類と単子葉類の違いについてですね」
僕は手に持ったツツジの花を理科室中に見えるように掲げた。
「ツツジがどちらなのか、分解して調べて――」
瞬間、嫌なサイレンが鳴った。
検査で何度か聞いた音……火災のサイレン。
「何何?」
「やばくね?」
訂正の放送も入らない。廊下に出ると、右隣の理科室が勢い良く燃えていた。校門は左側だから、避難させられる。
「逃げてください!口をハンカチで覆って!」
生徒の避難を誘導していると、
「あの、渡里が行ったの、火の向こうのトイレっす!」
生徒の1人が言った。
嘘だろ……。
「とりあえずみんなは逃げてて!」
僕は濡れたシーツを持ってトイレに向かった。戸を開けると、渡里は小さく縮こまっていた。
「せんせ……なんで」
「これ被って逃げるよ!」
閉まった戸を開けようとした、が、開かない。融けてしまったんだ。
窓。
僕は窓に対してあまりに大きい。けど。
「渡里くんは小柄だから窓から出て!」
「でも、先生は?」
「生徒の安全が最優先だから!早く!」
窓を開けて、彼の小さな背を押した。
敷地の外の道に赤が見えた。
灯油缶と……あれは、あれは確かに阿川だ。
異常な熱を感じながら、燃やされた理科室に監視カメラがあったことを
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第3人生
死因:火災による焼死
だいこん様のアイデアです。
学校を2次元で書こうとすると、
自分の通う学校と同じような間取りの学校が2次元に現れる謎。
なんとか改変して学校バレを阻止。