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6話 ふたつの想い
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
特に言うことないです🙄
新幹線の窓の外を、景色がすごい速さで流れていく。
でも、僕の心はまだ、昨日の夜のままだ。
「なあ」
健太が、さっきから何度も僕の顔を覗き込んでくる。
気を紛らわそうとして、スマホをいじっているふりをしても、無駄だった。
「なんかさ、今日の颯、他の誰かと喋りたそうな顔してる」
「……え?」
「もしかして、戸柱さんと話したいの?」
「ん…まぁ」
そう言ってから、颯は思った。
(見てるんだな、やっぱり)
いつもそうだった。
健太は、何でもないふりして、人のことをちゃんと見てる。
「健太、さ……」
「ん?」
「僕、トバさんのこと……諦めた、のかも」
言葉にしてみると、案外すんなり口をついた。
本当は、諦めたくなかった。
トバさんには、僕が気持ちを伝えているだけ。
でも、健太は―――僕のことを、必要としてくれているって気付いた。
健太は、一瞬だけ視線を伏せて、それから小さく頷いた。
「そっか」
たったそれだけだったけど、それだけで充分だった。
無理に聞いたりしないし、押しつけもしない。
でも、ちゃんと受け止めてくれる。
そんな空気の中で、ふと、勇気が出た。
「僕さ、今もまだ……どうしたいのか、はっきりわかってない」
「うん」
「でも、今、健太がそばにいてくれるのが、うれしいのかも」
「……そっか」
健太は、そっぽを向いたまま、小さく笑った。
「じゃあ、しばらく隣にいてやるよ」
「しばらくって?」
「颯が俺のこと、いらねって言うまで」
冗談っぽい口調なのに、声の奥が少し震えていた。
それがわかってしまうから、僕は余計に胸がいっぱいになった。
「……ってか、いらないなんて言わないよ、健太のこと」
僕がそう返すと、健太はようやく僕の方を見た。
驚いたような、困ったような、でも、すごく嬉しそうな顔だった。
そういえば、昔の相談相手はトバさんだったなぁ。
どうしたら良いかな、トバさん。
僕は、どっちを選んだら良いんだろう。
「……マジでおれ、今なら試合勝てる気する」
「それは調子乗りすぎだろ」
「いや、マジで。エースなれるかも」
「てかもともとエースだろ、お前」
ふたりで笑い合った瞬間、車内の景色が少しだけあたたかく見えた。
(きっと、まだ時間はかかる。戸惑うことも、あると思う)
でも今、すぐ隣に健太がいて、僕はちゃんとそれを「嬉しい」と思ってる。
それだけは、もう間違いない。
でも、僕はトバさんがまだ好きなんだ。
もし、このまま健太と結ばれることになるなら………
……………トバさんのことも、忘れなくちゃいけないんだな。
あとがき
こんな感じです。
トバさんの登場回数少なすぎてヤバいわ
次あたりには出そうかな