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神様神社 1話
1話
私は|加藤《かとう》あかり。早速だがピンチに陥っている。
「道に迷ってしまった」
散歩の途中で道に迷ってしまったのだ。いつも通る道だから安心して歩き回っていたら・・・
「交番ないかな」確か交番があるはずだ。「ここだっけ」
私は狭い路地裏に入っていった。
「何ここ」路地を抜けた先にあったのは、神社だった。
見るからに放置されている神社。苔や木が生えまくっている。
「そこにいるのは誰?」
声が聞こえた。人の声だ。
「あなたは」「神様だよ」
・・・ふぇ?一種の中二病?「本当ですか」「疑ってるな」にや、と声の主――声質からして少女だろう――が言った。「じゃぁおいで」少女がくるり、と振り向く。
黒いインナーにジャンパー、ゆるいジーンズ。赤っぽい長い黒髪がさらり、となびいた。
「あの、名前は?」「ないよ」「え?」「神様だから、明確な名前がないんだよ。好きなように呼びなよ」・・・「じゃぁ、ただ神様とだけ」「それでいいと思う。下手な名前つけられるよかマシだし。あんたは?」「私は加藤あかりっていいます」「オッケー、じゃぁあかりね」
神様が奥の扉を開ける。きれいな和室が広がる。
「ゆっくりしていきなよ」
神様がパチン、と指を鳴らすと、机にお茶が出てきた。
神様は神様だって、確信した瞬間だった。