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七話
世の中の人はバレンタインで頭がいっぱいで、街中チョコで溢れかえっている。
駅前にはバレンタインジャンボと書かれた幟が立っていて、何人か並んでいる宝くじ屋がある。
そんなもの、やったって当たらないのにな。
バレンタインは、あまり好きじゃない。
というか、どのイベントも好きじゃない。
なぜなら、人と関わる必要があるから。
みんな幸せそうな笑みを浮かべているから。
バレンタイン当日は、大雨が降った。
雨の音で目覚めた私はほんの少しの期待をし、カーテンを開ける。
大雨で大きな水たまりができているのを見て、喜ぶ。
私は、雨で喜んでいる私自身にほんの少しの嫌悪感を抱くが、それはすぐに消えさり、安堵や悦喜の感情が顔に出る。
自然と口角が上がる。
雨は、ときに私を幸せにしてくれて、私を救ってくれる。
私は雨が、結構好きだったりもする。