公開中
ハッピーシンセサイザ#1
ぷ り ん
私は昔から可愛いものが好きだ。リボンやレースが付いたドレスを身に纏ったお姫様にだっえ憧れていた。でも、誰にも分かってもらえなかった。ずっと。
---
いつも通りの朝、目を覚ます。冷たい階段を降りると、お母さんの声が聞こえてくる。
「千春、朝ご飯出来ているわよ」
「いらない」
制服のリボンを結び、バッグを背負う。
「ちょっと!千春!」
朝ご飯を食べずに家を出る。家族とは仲が悪い。酷いことを言っているのは分かってる。
でもーー。
学校のチャイムが鳴り、一限目の授業が始まる。毎日同じ事ばかりで、つまらない日々。
だけど、時間は早く流れていく。そして、七限目の授業が終わり、日は沈み始めている。
図書室に本を返した為、帰るのが少し遅くなってしまった。すると、近くの空き教室からクラスメイトの声が聞こえた。空き教室は、クラスの女子たちが使っているらしい。
「あのさぁ、朝千春のカバンの中に変なクマのぬいぐるみ入ってたんだけどぉー。いつまで子供気分で居るんだよって思うよねー。ほら、これこれ」
バッグを確認すると、いつもバッグの中に入れているクマのぬいぐるみが無くなっていた。そして、クラスの女子三人が笑いながら教室を出た。
「あっれ〜、バレちゃったかぁ。アンタの探し物、コレでしょ」
女子の手に乗っていたのは、私のぬいぐるみだった。咄嗟に出て来そうな涙を堪えながら、小さな声で言った。
「やめてよ、もう」
「何?泣いてんの?聞こえないんだけど。鬱陶しいから辞めてくれない?なんか言いたいんだったらちゃんと言えよ」
女子が私に振りかぶろうとしたその瞬間、誰かの手が女子を止めた。
「何やってんだよ」