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13.
「一つ聞く、あなたを倒せば僕はここから出られる?」
「あぁ、だから正々堂々勝負しようか。」
シュッ
氷のナイフが飛ぶ。美音は冷静に避ける。
「正々堂々、とか言ってる割には卑怯ですね。」
美音の周りには、薄い光る結界が見える。
避けていなくても、この結界が彼を守っていたのだろう。
「その結界が邪魔だな。」
男はそう言うと、美音の方に突っ込んできた。
「無警戒に突っ込むと、あなたの首が飛びますよ。」
美音がそう言う。すると、この空間が再び光に包まれる。
「初級魔法くらい、僕でも無詠唱で使えますからね。」
「それは、私に対する煽りか?『中級氷魔法 瞬間冷凍』」
男の周囲が少しずつ凍っていく。その氷は美音の方へ向かってくる。
「お前は、少しスピードに難があるな。
美音の速さがSSくらいだとしたら。私はEXだ。お前に負けることはない。」
美音は、結界では受けきれないと判断したのか 飛んで逃げている。
ギリギリ目で追うことができるくらいのスピードで飛び続けている。
だが、氷はそのスピードにさえもついていく。
「お前は逃げられない。」
少しずつ、少しずつだがその距離が縮まっていく。
「『上級光魔法 天魂落とし』」
男の頭上に、光が現れる。
「これは触れたらダメそうだな。」
男は落ちてくる光をサッと避ける。
たしかに触れたら魂ごと消滅するが、動き出すまでが遅いため避けるのは容易だ。
「本命はこっちですよ。」
加速した美音が、男を|光の剣《ライトセーバー》で斬る。
カキンッ
「その程度か、つまらない。」
氷の槍で受け止められた。
「氷がお前を狙っているのを忘れたか?」
**「想定通りですよ、すべて。」**
氷を避けながら、彼は言う。
「『上級複合魔法 光速』」
その瞬間、彼が消えて空間を斬り裂くような光が現れる。
*複合魔法、それは複数の属性や能力を合わせて使う魔法。*
*美音の能力は、「光を操る」と「変化を操る」の2つ。*
*『光速』は、自分自身を光に変化させる技。*
*美音が指摘されていたスピードを補うことができる。*
*なんと言ったって、光速なのだから。*
「・・・見えない、だが。『究極氷魔法 氷墜 改』」
先程よりも、広範囲に氷柱が落ちる。
だが、光には通用しない。
光には実態がないから、見えるだけで触ることはできないからだ。
「どこに消えた・・・・・・!」
**「後ろですよ。」**
後ろを振り向くが誰もいない。前を向いたそのとき。
「言ったじゃないですか、後ろだって。」
男に光の剣が突き刺さる。
「あなたたちの理想を踏みにじってあげますから。」
「・・・・そうか。お前たちの理想も、魔王様が消してくれるさ。」
そう言い残して、彼は消えた。そして、この空間も。
(倒したから、ここから出られるはず・・・・。)
そう思ったのもつかの間。
パァァァァァァ
(・・・・道ができた。ここを通れということか。)
美音は素直にその道を渡る。
「このドアを開ければ、帰れるはず。」
(騙されていたときは、仕方がない。また返り討ちにして見せる。)
ガチャ ギィィィ
「美音!!!!!!!!!」
「・・・・美咲。」
「本当に心配したんだぞ!?」
「お嬢様、落ち着いて。苦丁茶でも・・・?」
「そのネタ、何回擦るんだよ。」
彼女たちに、笑顔が戻った。
それをひっそり影から見つめるものがいた。
「あんなに弱そうな女に負けたんすか。あいつら。」
「あぁ、だが。あいつらはあくまで囮だ。」
「めんどくせぇけど、やりますか。あんたと一緒なのも嫌っすけど。」
一応毎日投稿は今日で終了! ま、そのうち投稿しますわ。