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物語は凡て迷ヰ猫の手の内に。
始まりは白い天井。
えー…そんな丁寧な描写が続いて終っていくと思いました?
んなわけねぇだろ。
待って、待って待って先ず、ね、まず、
体痛い…
痛すぎる。無理。体動かん。無理。無理じゃなくて嫌。
大方僕が森さんに拾われたところから始まんだろ?
…二回目はいいんだがなんでこっからなんかな…前でなんか悪いことしたっけ
…したわ…結構やらかしてるわ。
前も思ったがこの寝台硬すぎる。
患者用とは思えない硬さ。
「ん?あぁ、目が覚めた?もう…あー!太宰君またどうやって薬品庫に入ったの!」
切羽詰まったような、焦ったような声が白いカーテン越しに聞こえた。
「あ、の…」
『此処はリンタロウの医院よ!その辺の道に落ちてたところを私が見つけたの!』
唯一よかったのは目が覚めた時覗き込んでいたのが可愛らしい幼女の顔だったってことだな、とどう!凄いでしょう?優しいでしょ!と自慢げな幼女の顔をぼんやり見ながら思った。
うん。かわいい。
『リンタロウは今忙しいみたいね。水飲む?飲める?』
「嗚呼」
痛みは諦めて無理矢理体を起こす。
あ、やばい。
『はい』
「有難う」
一口水を飲むと自分がのどが渇いていたことに気づきそのまま一杯飲み干した。
「ハァ…本当に太宰君は…」
「あの…」
「君、向こうの通りに倒れてたんだよ?それも血塗れで!エリスちゃんも助けろっていうし、そのまま放っておくわけにもいかなかったから此処で処置したけど、なかなか目を覚まさなかったから困っていたんだ…どんくらい寝てたっけ?」
『三日ぐらい?』
「…はぁ」
普通に考えるならこっちに適応させるまでにかかった時間が3日だった、ってところか。
もう一寸ハイスぺになれよ((
「あれー森さんが拾ってきた子、目が覚めたの?」
カーテンの向こうからひょっこりと顔がのぞいた。
僕を値踏む様に彼の眼が眇められる。「へぇ…」
しかしすぐに元の笑顔に戻る。
「僕の名前は太宰だ、宜しくねぇ」
「あ、…」
『そういえばリンタロウ、名前聞いてないわ』
「え?あーそういえば名前と年齢は?」
僕は…____
「アマネ。…9歳」
「きゅ____」
『9……』
「✨」
「『あ~……』」
「超ストライク…♡」
「ハァ…やっぱりこうなった」
『やっちゃったわね…』
わー!!と飛びついてくる森さん。
気持ち悪い。
勿論
「…あ」
ちらりと横に目を向ける。
「あははwこの子拾って正解じゃない?」
『アマネ凄いわ!』
「ふぇぇ…」
はっとすると下に潰れている中年とそれを前にして笑う二人。
あ…っと―…
ごめん森さん…本能でつい。悪気はないし記憶にもないからどのくらいの力でやったかわかんないし記憶にないってことはやってないとまたかくのごとし。
うん。そういうことだ。問題ナシ。
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「う~ん……」
「それで?」
『リンタロウったらね!』
「もう~…その話何回も聞いたよ…」
『今はアマネに話してるのよ!』
「はいはい」
「えぇ…待って…?何分経った…?」
「10分じゃない?大体」
「え、太z、エ……仲良くなり過ぎじゃない…?」
「別に」
『アマネはリンタロウと違ってちゃんと話聞いてくれるわ!ダザイも…まぁリンタロウよりはましね!』
「なかなか面白い話だと思って」
「まぁいろいろ森さんにも弱みがあるなぁと思って」
「え、待ってエリスちゃん何喋ったの」
『ヒミツよ!』
「えぇ…ちょ、アマネちゃん…?」
「ヒミツ、とのことなので僕からは喋れない…です?」
「だ、太宰君…」
「エリス嬢がヒミツ、って言ってるからね。僕からも話せないよ」
「えぇ…」
豪く平和だ。本当にこの二人が黒社会の幽鬼と化すのか。
「というか太宰君、何混ぜてるの」
「血糖値を上げる薬と下げる薬をまとめて飲んだらなんかすごいことが起こって死ねるかなーと思って」
「死ねません!」
何かおんなじことやってる…
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4年がたった。
結果は変わらなかった。そりゃそうだ。
何故なら全く同じ世界だから。
文学書の中のもう一つの世界、ではなく。
しかしここからだ。
彼は救えない。
でも、もう一人は。
彼が死んだことで苦しむことになる彼を、助ける方法を、探したかった。
この先の未来を知っている人を見つけるために、僕はもういちど。
…というところだ。
然う。つまり今僕は空中。
はー…海綺麗。
前と違って異能はフルで使えた。
お陰で怪我はほとんどない
振り返って後ろの茂みを見る。
「普、続きは教えてね。」
僕が知れなかった人を救う側になる太宰。
どんな選択をしていくのか。
知っているのは彼女だから。
「…ニャア」
すっと手を差し伸べるとそれは僕の手に触れた。
「…べつに自分で戻れんのに」
「でも無視する気だったろ?」
「はー…もう私ののびのびねこちゃんライフは終わりかぁ」
「ねこちゃんライフやってるってことはもう夏目先生とあってんだろ。早く引き合わせろよ」
彼女は心底愉快そうに笑って言った。
「今度は君が先生のパシリにされる番か」
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次回。一応話一連としての最終回
『1から10まで雑すぎん?もうちょい丁寧に書いたら?』
はい。最終回終わったら細かいとことか番外編とか書きたい奴書いていくつもりです。
おれの相棒はいつでもこの二人なので。
湊のいるところにアマネありですよ。
「めっちゃやだ」
ちなみに自己紹介で何故毎回湊なのか。あの字毎回打つのめんどいんだよね。
てことで次回予告宜しくぅ!
「次回。最終話。」
【猫は迷わない】
『題名迷ヰ猫なのに?』
「みたいだな。確実に作者の頭狂ってんな」
そこ突っ込むなぁああ!!!!