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【短編小説】恋の終わりを告げる鐘
今日は土曜日。外では鳥たちが何かを話している。
今日、私の初恋の人が結婚式をあげる。
私は高校生の頃の卒業アルバムを取り出して、少しずつ初恋の時を思い出してゆく。
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初恋の人、晴翔に出会ったのは、校内の図書室で本を読んでいた時だった。
私は目立つような人間じゃない。いわゆる『インキャ』だった。
それに比べて同じクラスの晴翔は、いつも周りに人がいた。
その上優しくて運動も勉強もできる。つまり、女の子たちの恋の的だった。
私とは生きている世界が違う。そう思って、これまで関わるのを避けていた。
「この小説面白いよね!君もこういう本好きなの?」
「え!?あ、はい……」
そんな彼が、私に声をかけてくれたのだ。
その瞬間、私の心に鮮やかな花々が咲き乱れた。
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思い出に浸りながら、今日の予定を振り返る。
まだ家を出るには早いな。もう少し家でゆっくりしよう。
そんなことを考えながら、私はまたアルバムに目を落とした。
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その日から私は、彼のことが頭から離れなくなった。
何をしていても、ふとあの時の彼の笑顔が浮かんできたのだ。
そしてあの日以降、彼は時々私に話しかけてくれた。
「あれ?小説変えたの?あ、これ前のと同じ人の作品?」
「あ、はい…この作家さん面白くて…」
「ねえ、なんで敬語なの?俺ら同級生なんだし、タメ口でいいよ!」
「え…!?ぅあ………うん、わかった…」
「その小説読み終わったら、感想とかあらすじとか教えてよ!俺も読んでみたい!」
「え、あ、わ、わかった…!また教えるね…!!」
気さくに話しかけてくれた彼に、私はますます惹かれていった。
この片思いが、私は永遠に続くと思っていた。
……あの日までは。
あの時、彼が言ったあの言葉を、私は忘れることはない。
「俺、実は好きな人いるんだ。今度告白するから、考えるのを手伝って欲しい。」
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気づいたら、私の頬を涙が伝っていた。
自分の涙脆さに驚き呆れつつも、また時間を確認する。
もうすぐ午後か…あと20分はゆっくりできるな。
遅刻だけはしないようにしないと…そう思いながら、私は目を閉じた。
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私にお願いした理由は、
「恋愛小説をよく読んでたから、そういうの得意そう」だからだそうだ。
私たちは放課後、教室に二人のこって恋文を書いていった。
『実は好きな人いる』『今度告白する』……あの声が脳裏をよぎるたび、
私の心に雨が降り、私の花を殴りつける。痛みと悲しみで何度も泣きそうになった。
それでも私は初恋の人のために、必死に言葉を考え、目の前の初恋の人に伝える。
言われたかった言葉を。言いたかった言葉を。全て紙に起こしていく。
そして最後に、私が一番言われたかった言葉を伝えた。
「あなたがずっと好きでした。どうか、付き合ってください。」
「…これでいいな!ありがとう。これで絶対成功するよ!俺、頑張る!」
「………………。……うん、がんばってね…!!」
今すぐ泣きたい気持ちを抑え込んで、私は無理やり笑顔を作る。
ああ、彼に告白されたら、その人はきっと、泣いて喜ぶだろうな。
綺麗な笑顔を浮かべて、「はい、よろしくお願いします。」と言うんだろうな。
ああ…辛いな……
でも…彼が幸せなら……
私はそれでいい…………
「……………よし。」
長い沈黙の後、彼が立ち上がった。机がガタンと揺れる。私も思わず立ってしまう。
彼がまっすぐこちらをみている。緊張と戸惑いで私は動けなくなってしまう。
また沈黙が流れる。どこか不思議な空気が、二人の間を通り抜けていく。
そうして彼は…
--- 私たちがついさっき書き上げた恋文を読み始めた。 ---
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気づけば、もう午後を過ぎようとしていた。
その時、部屋のドアが半分ほど開き、私に質問がとんでくる。
「ねえ、そろそろ家出る時間だよ!もう行けそう?」
よく通った心地のいい声に、思わずクスッと笑いながら私は答えた。
「うん、大丈夫だよ。」
立ち上がって、スカートをトントンとたたく。そして、顔を上げた。
--- 「…じゃあ行こうか。…《《晴翔》》 。」 ---
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あの時、彼が最後に言ってくれた言葉を、私は忘れることはないだろう。
--- 「僕は、初めて出会った時からあなたがずっと好きでした。 ---
--- どうか、僕と付き合ってください!」 ---
あんなに必死な彼を、私は初めてみた。
そして、私が人前であんなに堂々と泣いたのも初めてだった。
ああ、やっぱりだ。私の予想はあってたなぁ……
彼に告白された人は、たった今、泣いて喜んでいる。
そして私は、今までで一番綺麗な笑顔を浮かべて、彼にこう伝えた。
--- 「はい。よろしくお願いします。」 ---
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今日は土曜日。外では鳥たちがお祝いしてくれてる気がした。
今日、私の初恋の人が結婚式をあげた。
こうして、恋の終わりを告げる鐘は、
新しい『愛』の誕生を祝う声を、遠く遠く響かせるのだった。
こんにちは。「読書が好き🍵」です。
今回は少し感動要素を混ぜ込んでみました!
パッと思いついてパパッと作ったので下手かもですが…(汗)
アドバイスなどがあれば、是非教えてくださいね。
それでは、またどこかでお会いしましょう。