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もう終わり
始まりと終わりがあって、それを承知の上で恋愛は成り立っている。
そもそも恋愛に限らず、全ての出来事に始まりと終わりがある。
それを分かった気がしてるように、私たちは生きている。
ほんとは分かっている気になっているだけで、きっと終わった時に文句を言ったり、泣いたり怒ったり。
受け入れるなんて、そんな容易いことなんかじゃない。
工程を踏んで踏んで、やっと受け入れられるんだと思う。
その期間が短いと、辛い時間だけが長くなっていく。
いつか、終わるって分かって生きていく。
終わるのは分かるんだ、本能で。
始まりは無意識のうちにだと思う。
でも終わりって、見えているのだけれどどうしても目を逸らしてしまう。
だけどちゃんと向き合えば終わりってすぐ目の前にある。
私たちは終わりに向かっていってるだけで。
じゃあ何のために生きてるんだろうって目を閉じた瞬間に考えて考えるのをやめた。
考えれば考えるほど、あいつのこと諦められてないんだって自覚していく。
分かってるけど、分かりたくないんだよ。
だから分からないふりしてる。
99.9%分かってる。
残りの0.1%は私が逃げている分かりたくない部分。
きっとその0.1%を理解した時、私はどう思うのだろう。
やっとあいつを諦められるのか。
いや、きっと諦めないだろう。
心のどこかであいつを追い続けて老いぼれていくんだ。
私に白髪が生え始めて、手の甲がしわくちゃになって、胸はしおれて、目のシワが深くなって、腰が低くなっても。
通知が鳴ってスマホを確認したって、あいつの連絡先は消したじゃないか。
スマホを投げつけた。
壁にスマホが当たって振動が背中をつたって小さく震えた。
汚い嗚咽をこぼして泣く私を、あいつは見たらきっと「きも」って言うよね。
心の底から、言うのかよ。
あいついつも、ごめんって言わなかったけど。
やっと言ってくれた時が、振られた時となんてね。
私、びっくりしたよ。
「言うのが、おせえよ」
あいつの胸を手で押して遠ざけた。
そんな目で、見んなって。
「ごめん」
言いかけたあいつの口を私は手で塞いだ。
あいつは目を伏せた。
だから、その目、やめろって。
「こっち向けよ…。おい」
あいつの、肩、胸、二の腕。
手で叩いた。
力がこもってない代わり、私の憎しみと悲しみをつめて。
「…ごめん」
「ごめんって言うな…。もう…黙れよ」
より一層、あいつの口を塞いでいる右手に力を込めた。
もう、喋んなよお前。
あいつの唇が震えているのを手のひらが感じ取る。
あいつの唇の温度は、冷めきっている。
あいつは私の右手を握って口から離した。
最後、手繋いでくれたのいつ。
私は手を振りほどいた。
「馬鹿だよ、お前は」
私は目を真っ赤にしている。
愛の色?違うわ。
今の愛の色は真っ黒でしょ。
「私のこと死ぬまで愛すって、言ったじゃん。嘘だったの」
あいつは目を合わせない。
涙が溢れてあいつの顔がよく見えない。
「私の愛をなんで分かってくれないの」
あいつに噛みつきたい前歯がうずいている。
あいつは私の頭に手を置いた。
気持ち悪くて頭皮まで鳥肌が立つ。
「俺のことを外側だけ見てたのは、お前も一緒だよ。だから分かり合えなかった」
「んだよそれ…一緒にすんなよ…」
不思議と騒いでいたのは自分だけだと気づいて言葉が詰まる。
「もうごめん」
あいつは私の部屋から出ていった。
暑かった部屋が一気に冷えていった。
私の手のひらが急速に血が引いていくのが分かる。
あいつが出ていって何時間経ったころだろう。
ポストにガタンっと音がしてドアに向かった。
中を見るとあいつの合鍵だった。
「こんなん、いらねえよ」
床に合鍵を叩きつけた。
この鍵は、私の部屋の鍵なんかじゃないよ。
こんなの、あったって開ける部屋はもうないよ。
時計を見るとお昼の12時で、あいつと喧嘩して半日以上が経ったのを知った。
なんだか涙も出てこない。
あいつの毒舌を聞いたら、泣いてしまうのかも。
声なんか今聞いたら、死んじゃうよ。
あいつの物処分しなきゃって、嫌だよ。
だってまだ…。
口に出すどころか頭の中で考えるのすら躊躇する。
冬のせいか床が冷たくて、靴下を履いた。
あいつの靴下が混ざってて、ムカついた。
懐かしいだとか、そんなんじゃない。
ふつふつと湧く怒り。
あいつのシワがよった笑い方が脳裏をよぎって、なんだか一瞬だけ笑えた気がした。
全部ありがとうの感謝の気持ちもない。
0.1%の中の0.01%を、理解できたような気がした。
願うまでもない、早く終わりが来ますように。
この1901文字の私の失恋をネットの誰かが見て、どう思うのだろう。
私はここまで書いて公開をクリックして、保存を押した。
小説の一覧を見ると、私の小説が載っていた。
なんだか今までの気持ちがスッキリしたきがして、冷たい床もいつしか春が巡ったのか暖かくなった。
私はパソコンと目を閉じてみた。
春の始まりがこちらに向かってゆっくりと歩いてきている。
短編カフェ超リスペクトの失恋話書いたった!
ちな書いてる時不登校かましてたよ✌🏻✌🏻((
ちなみに私失恋してませんからね?
なんなら今超絶好調ですよー!!!
あとこれは余談ですが誰か私とLINE繋ぎましょ🫶🏻🫶🏻🫶🏻🫶🏻🫶🏻