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一生のさよならと永遠のありがとう。
先月、飼っていたインコのマロンが亡くなりました。
一人暮らしを始めてからはマロンは唯一の癒しの存在。
とても可愛らしく仕草も姿も愛らしい天使のような子でした。
マロンは元々小さな病気を患っていたので、いつ一生会えなくなるか分かりません。
だから、せめて生涯幸せに暮らしてほしいと毎日大切に世話をしていました。
マロンは最期に私の小指を甘噛みして手の中で安らかに眠りました。
だんだんと体が冷めていく中で、少し笑っているように見えました。
その日はずっと泣き続け、次の日になると凄く浮腫んでいる程でした。
柔らかい羽毛が風で揺れながら、マロンを耕して綺麗に整えた庭の花壇に埋め、ローダンセの花とマロンが大好きだったリンゴを供えました。
ある日、私は親の急な体調不良で遠い実家に帰ることになりました。
リビングで充電していたスマホを取り、明日の新幹線の指定席予約をしていました。
予約説明をお茶とリンゴを食べながら見ていました。
机の一口サイズに切ったリンゴを食べようとふとリンゴの見ました。
するとさっきまで5つあったリンゴが4つになっていました。
私がいつの間にか食べていたのだろうと気にせずリンゴを爪楊枝で1つ取って食べ、スマホを見なおしました。
するとシャリッとリンゴをかじる音が聞こえました。
疲れてるのかな頭を抱えながらとリンゴを見ると、またひとつリンゴが減っていました。
流石に幽霊でもいるのかと少し怖くなりスマホの画面を消して立ち上がりました。
すると、リンゴを置いている方からテチテチと足音が聞こえました。
足音が聞こえるの方を見ると、見覚えのあるモフモフな羽毛を着飾ったインコがいました。
首を傾げて私を見つめるインコをすぐに逝ったはずのマロンだと分かり、涙が自然に溢れてきました。
私はマロンの前に優しく手を差しのべると、ピッと鳴きながら手の上に乗り懐かしい感覚が蘇ってきました。
マロンはよしよししてと言う意味のいつもの動作をしてきて、私の手に座りました。
その通りにマロンを手で包んで優しく撫でました。
マロンは気持ちよさそうに目を瞑り、たまに甘えた声を出しました。
私は「この幸せな時間がずっと続けばいいのにねぇ」とマロンに言うと、マロンは急に立ち上がりマロンの遺品を入れていた段ボールに停まりました。
「おもちゃで遊びたいの?」
そう言って段ボールからよく遊んでいたブランコやツリーを取り出してやると、マロンは興奮して遊び始めました。
可愛らしく懐かしい光景を長い時間見ていました。
家の中は窓から入る茜色の光に染まり、いつの間にか夕方になっていたので余程私は寂しかったんだなとマロンを撫でながら感じました。
するとマロンはスマホの上に乗りピッと鳴きました。
その瞬間新幹線の予約をとっていないことに思い出しました。
私は急いでスマホを持とうと手を前に出します。
すると持ったとき、マロンが珍しくもの凄く怒りました。
キャルルルと怒りスマホを渡してくれません。
「どうしたの?新幹線乗っちゃダメ?」
マロンを落ち着かせながら言うと、マロンは言葉が解っているようにピッと高い声で返事をします。
(しかたがないなぁ)
スマホを取り指定席予約のwebを消すと、マロンは優しく私の手をさすり、ゆっくりと透明になって消えていきました。
(どうして新幹線に乗ってほしくなかったんだろう…)
私は頭の上に?を浮かべているようになりながら、今日のマロンを想像して夕飯を作りはじめた。
次の日、車で実家に帰ると元気そうにしているお母さんと、体調不良で寝ているお父さんに会いにいった。
「|未玖《みく》、お帰り。遠かったよね。」
「うん。それよりお父さんは?」
「薬飲んだから治ると思う。」
「良かった。」
実家で仕事の話をしたり、昨日会ったマロンの話をした。
「そうなの?じゃあもしかしたらマロンちゃんが未玖の命を救ったのかもね。」
「それはどういうこと?」
そう質問すると、お母さんはテレビを付けてニュースを見せた。
すると、速報で結構深刻な話をしていた。
『速報です。今日9時出発の○○行きの新幹線で爆弾テロが発生しました。16両編成のうち、5両編成に爆弾が仕掛けられていて、少なくとも32人死亡59人怪我をしています。爆弾を仕掛けた犯人を殺人罪や激発物破裂罪の疑いがあるとして捜査を行っています___。』
(この新幹線って私が乗ろうとしてたやつ⁈)
このニュースを見て、私は空を見てマロンの事を想った。
(マロンが私を爆弾テロから救ってくれた。あのまま乗っていたら死んでいたかもしれない。一生会えないけど、私の命を救ってくれた感謝の気持ちは永遠に残り続けるよ。ありがとうマロン。マロンの分まで長生きするね。)
ペットは優しくしてあげるほど飼い主の事をきっと想っています。もしかしたらちょっとしたことでこの話のように命を救ってくれるかもしれない。だから一度飼った生き物は最期まできちんと世話をしてあげましょう。愛情を注いで幸せにしてあげてください。
幸あれ。