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涙。1
佐久間side
自分の部屋のベッドに腰掛ければ、色々なことがぐるぐると頭の中に巡った。
『…え、何それ』
『可笑しいだろwww』
『近づくな、汚い‼︎』
学校で日常的に言われるこれらのような言葉が、今日は何故か、特に俺の心に響いた。
大介「…あ……………」
いつのまにか、目から涙が溢れていた。
その涙が頬から落ちた瞬間、固体となり、からん、と音を立てて床に落ちた。
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<Memo>
__とある年から異常に流行り始めた、この病気__涙石病。
感染者は涙を流し、頬を離れた途端、涙が石となる。
それが主な症状。
罹った人は死ぬまで一生この病気を患うことになる。___
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落ちた固体の涙__|涙石《るいせき》を指で|摘《つま》み上げる。
どこまでも透き通った透明で、角はなく、表面がつるっとしている。…今まで何回も見てきたけど。
俺の隣でぶる、とスマホが震えた。
…阿部ちゃんからだ。
俺の友達ね。
学年1つ違うけど、同じ涙石病の患者で、知り合った。
『佐久間ー。そろそろ来ないと遅刻だぞ‼︎』
あ、やべっ。
急いでスマホと財布と鍵…などの貴重品をかき集め、鞄に入れて、部屋から出た。
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大介「阿部ちゃーん」
インターホンを押して、声をかける。
今は夏。
外は雨が降っていて、湿っぽい風が吹き付けている。
…とはいえ、阿部ちゃんと同じマンションに住んでるから濡れはしなかったけど。
ガチャ
亮平「佐久間やーっときた。どーぞ、入って」
大介「にゃーっす、ごめんって‼︎」
亮平「いいよ、もう日常茶飯事だし」
大介「…阿部ちゃんごめん‼︎」
亮平「うん」
大介「今日何するー?」
亮平「勉強会」
大介「えぇ…」
亮平「来週定期テストだよ?」
大介「あっ」
てことでひたすら勉強してました。
阿部ちゃん頭良いからさ…俺の方が学年上なのにねw。
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翌週__テスト翌日。
担任「はい、今日は転校生がくるぞー」
…うわ、アニメとかでよくあるやつー。
しかも俺の隣空いてるし。確定演出。
?「どーも」
担任「……自己紹介」
辰哉「深澤辰哉でーす。趣味……趣味………は、うーん…クレーンゲーム?です、よろしくお願いしまーす」
担任「んで、席は…そうだな、佐久間の隣空いてっからそこで」
辰哉「はーい」
…あーあ。
てことで気合いでホームルーム乗り切って、休み時間。
急いで逃げようとしたら、捕まりました。
辰哉「名前、なんてゆーの?」
大介「………ぇ」
阿部ちゃん助けてー。
天から阿部ちゃん降ってこないかなぁ、
大介「………佐久間、大介」
辰哉「佐久間かー。…っていうか佐久間って呼んで良い?」
大介「…あー、……いいけど」
ご存知(なのか?)の通り、俺、クラスだと結構陰キャタイプなんですよ。
ね。
辰哉「じゃあさ、佐久間、俺ふっかって呼んで」
大介「…え、指定?w」
思わず笑ってしまった。
辰哉「うん、なんか佐久間にはそう呼んでもらいたいなーって」
大介「…うん、わかった、ふっかって呼ぶわ」
辰哉「友達ね」
大介「…えっ?…あー、うん」
友達出来たわ。
こんなに上手くいくもんだっけ?
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昼休み。
現在、ふっかと一緒に弁当を食べてます。
誘われたので。
辰哉「まだ出会って1日も経ってないけどさ、佐久間ってなんか秘密とかあんの?」
おにぎりを頬張りながら聞いてくるふっか。
いや、結構失礼…www
大介「んー…ある分にはあるけど」
この病気の事とか。
辰哉「ふーん、そっか」
大介「そんなに人の秘密聞きたいの?」
辰哉「そんな失礼な奴じゃないってば」
十分失礼だと思うけど。
大介「…逆にふっかはあるの?」
辰哉「あー、病気とか?」
大介「んぇ、まじ?」
辰哉「マジマジ。流行ったの結構前だから覚えてないかもだけど、涙石病って知ってる?」
大介「…え?」
辰哉「あ、ごめん、知らない?」
大介「え、んーん、知ってる」
辰哉「そうそう、俺それ」
大介「…⁉︎」
阿部ちゃん以外初めてだわ、…。
辰哉「驚いた?」
大介「うん、だって……………俺も、だから」
辰哉「あ、マジ?」
二人でしばらく爆笑。
初めて病気の事教えてこんな笑ったわ。
辰哉「まじかー、同士じゃん」
大介「んねwww」
モブ1「おーい、深澤、そこで何してんの〜?w」
辰哉「どう見たって佐久間と弁当食ってるでしょ」
そんなのも分かんないの、と言いかけたふっかの口を慌てて押さえる。
モブ2「辞めた方がいいぞ、佐久間と一緒にいるの」
…やばい、どうしよ、
手から力が抜けた。
辰哉「え?なんで?」
モブ3「深澤は知らねーかもだけど、そいつ病気なんだってば、|伝染《うつ》るぞwww」
モブ1「お前知ってっか、涙石病ってやつ」
辰哉「あー、うん」
モブ2「佐久間それなんだって、気味悪ぃよな」
辰哉「そう?」
モブ2「あったりまえだろ、ガチで伝染るぞ」
辰哉「んー…伝染るも何もさ、俺もそれなんだよね」
モブ3「は?」
辰哉「そーそー。伝染るとか関係無いの。邪魔すんなら帰って」
モブ3「じゃ、邪魔じゃねえし…忠告だよ、」
辰哉「いや、でも俺が邪魔って思っちゃってるから邪魔だね」
モブ1「邪魔とか言うな、れっきとした人間だぞ‼︎」
辰哉「俺も佐久間も人間だけどね。ていうかお前ら弁当食ったの?さっきからお腹鳴りっぱなしじゃん、あと3分で終わるよ、昼休み」
モブ2「やべ」
辰哉「邪魔してるだけ時間の無駄。はいしっし」
そそくさと逃げていくモブ達をぽかーんと見つめる。
ふっかの撃退術すげー…。
俺もあんなんになりたい。
辰哉「そろそろ食べ終わった?…って泣いてんじゃん」
地面に涙石が落ちる音が聞こえてきた。
大介「…っ、ごめん、」
辰哉「え?全然良いよ。てかもう授業始まりそうだし保健室行く?」
大介「うんっ、」
ふっかに連れられて保健室へ。
そこで阿部ちゃんに会った。
しかも、阿部ちゃんも誰かと一緒にいるし。
大介「…ぁ、阿部ちゃん」
亮平「佐久間じゃん」
大介「…………誰?」
亮平「うちのクラスの転校生。」
辰哉「照⁉︎」
?(照って言われた人)「ふっか⁉︎」
大介「…どう言う状況…?」
亮平「…確かに…っていうか佐久間何で来たの?」
大介「…………ほぼサボり…wだけどさ、ほら、」
亮平「あー」
察しが良すぎる。
大介「…阿部ちゃんは?」
亮平「以下同文」
大介「…まじか」
辰哉「照も学校ここ…?w」
?「あー、うん。ねw」
辰哉「あ、ごめん、こいつ、俺がこの学校来る前も学校一緒だった後輩。岩本照。佐久間、照見た目怖いけど優しいし可愛いから」
照「余計な事言うなよ…」
辰哉「事実じゃん」
大介「………ひかる…?」
どっかで聞いたことあるような。
気の所為か。
照「…うん、よろしく」
亮平「あなたは?」
辰哉「俺は深澤辰哉。照の(一応)先輩ね」
亮平「えっと、深澤さん?」
辰哉「あー、www…なんかやだ。俺、ふっか」
亮平「……ふっか、」
辰哉「正解」
亮平「正解ってあるの?」
辰哉「…?どうだろ」
照「てか先生いないの?この学校大丈夫?」
大介「あー、………昼、休み」
辰哉「先生も昼休みか…www」
ガラララッ
?1「失礼します」
?2「ちょ、大丈夫だからっ、、、あああああ‼︎」
照(うるっさ…)
?1「先生いない感じですか?」
亮平「あっ、、待って。貴方達、(かの有名な)転校生?」
?1「え…?あ、はい」
?2「帰る‼︎帰る‼︎」
騒がしい。
?1「ちょっと一回黙ろう」
亮平「例のゆり組?」
大介&辰哉&照「…ゆり組?」
?1「あー。何でその名前広まったかは不明ですけどそうです」
亮平「ゆり組⁉︎」
?2「もう良いって、大丈夫だからっ‼︎」
?1「ダメでしょ」
亮平「怪我ですか?」
?1「あー、はい」
?2「そんな大した事ねえけど………」
?1「そんな事ないでしょ」
そう言って無理矢理体操服のジャージのズボンを捲られてる。
照「うわっ⁉︎」
辰哉「えげつないじゃん、流血」
…結構やばい。
膝辺りが擦りむけてる…?のかな?んだけど、膝がもう真っ赤。
あーゆーの無理なのか、照がふっかの後ろにさりげなく隠れてる。
…なんだ、ふっかの言ってた通り結構可愛いんじゃん。
てことで、ふっかが手当てしました。
(保健室の先生仕事してないんで)
?2「…ありがと」
?1「ありがとうございます」
辰哉「ついでに聞いてもいい?」
?1「はい」
辰哉「名前何?」
亮平「それはそれはもう………んぐっ」
?1「宮舘涼太です」
?2「…渡辺翔太」
亮平「二人合わせてゆり組‼︎」
大介「…阿部ちゃ、なんで…………そんなに詳しいの?」
亮平「もう初めて会った時から一目惚れ」
辰哉「www」
涼太「ありがとうございました」
辰哉「帰るの?」
翔太「…授業中」
亮平「そっかぁ…」
涼太「さようなら」
静かになった保健室。
大介「…あべ、ちゃん?」
亮平「どした?」
大介「…なんかさ、照と、なか…よくなった理由とか、、、ある?」
亮平「あー、…同じ病気だから、とか?」
大介「…?」
亮平「涙石病」
大介「まじ?」
照「まじ」
大介「…じゃあ、つまり、、この4人みんな同じ、病気ってこと?」
辰哉「そーだね」
照「?」
辰哉「佐久間もそうなの」
照「あー…」
亮平「なんかさ、さっきのゆり組もなんかありそうだよね」
大介「……雰囲気はした」
亮平「佐久間空気読むの上手いもんね」
…まあそのせいで色んな被害食らったこともあるけど。
大介「…うん」
照「…」
辰哉「じゃあ明日にでも追跡する?w」
照「…ただのストーカー………」
亮平「するするっ♡」
大介「…阿部ちゃん大丈夫…?」
亮平「え?」
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俺には今日、新しい友達が出来た。
また、違う日常が訪れる予感がした。
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?side
痛い、痛い。
とにかく痛い。
ひたすら腹を殴られ、蹴られ。
涙が今にも溢れそう。
だけど、決して涙は流してはいけない。
__それが、俺の運命だから。
お願い。
…誰か、助けて。
はい。
なんか色々と変なところで切りました。すみません。
最後の誰でしょうね…?