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ある夜の夢から 2
ハイリスクレッド
ショート・ショートストーリー✍ 1
J E A L O U S Y
じぇらしー
☆
西日本最大とか言われるショピングモール、1Fの中央フロアから天井まで吹抜けて吹抜けに沿った通路を時計回りかな?右回りに買い物客達が歩いてる。
そんな買い物客達に自然に流されるように俺たちも歩いてる。
もちろん目的はちゃんと有る、俺のお気に入りブランドの新作スニーカーをチェックするためにエビシマートへ向かっている。
そんな買い物客達の自然の流されに逆らう奴がいた。
奴は、うつむき加減の姿勢で流される買い物客達から鬱陶しいがられる視線を向けられようとお構いなしに無視したままで歩いている。
流れに逆らいながら歩いていた奴が、俺の進行する動線に入ってくる。
たぶんだけど、意思を持ってると俺は感じた。奴は、うつむき加減のままで体の前に下げた大きめのショルダーバックと体の間にまるで右手を隠すように位置している。
奴と俺の距離がだんだんと近づいてくる、もはや面と向かい他の入り込む余地はなしな感じに、5メートル、3メートル、1メートル、50センチ、ショルダーバックに隠れていた右腕が動く、抜かれる、ギラリとした鈍い色の何かがその手に、右手に握られていた、残り13センチ、鈍い色の何かが俺の腹に向かって突き出された。
咄嗟に俺はぶらぶら手ぶらだった右腕を腹の前に振り出し鈍い色の何かを持っている奴の右手首を捕まえ握りしめ、同時に左手の指を絡ませ繋いでいた人物を俺の背に引き寄せた。
はっと、まさかと、奴が顔を上げた、奴の驚愕の顔と俺の冷静な顔が向き合い視線がぶつかり合う。
そ、そんな…奴が呟く。
んだ、テメェ?俺が呟く。
ぼ、ぼくは、30年間、まじめに、マジメに、コツコツと目立ちもはしやぎもしないで過ごして、生きてきたのに…
ぶつぶつと呟きながら奴は、一度突き出し俺の腹部の5センチ前で止まった刃物を握る右腕を、俺に握られた右手首を振り解いて脇腹へ引き戻し再び刃物を握る右腕を前へ突き出した。
パッシン!ズッン!
突き出した刃物を握る右腕、右手首が俺の左拳の鉄槌打ちで打ち落とされ、同時に鳩尾へ俺の右拳の縦拳で当て身を当てられる。
グッ…
カチャッン!乾いた音をたてて刃物が床へ落ちる。
咄嗟に、朱色に黒色の隈取りでデザインされたスニーカーが床へ落ちた刃物を踏みつけ後方へ滑らせる。
はらりとハンカチが床へ落ち、滑ってきた刃物を覆い隠した。
奴に、レディで女神さまっと呼ばれる俺の背にいたギャルが自然な動作でハンカチに覆い隠された刃物を拾い上げ肩から掛けていたバッグへ入れた。
鳩尾への当て身で硬直したままぐらっと前へ傾くとまるで久しぶりに再会した友人同士の様にハグするように奴を受け止めると、再会を喜ぶ様に肩を寄せ肩を貸し近くのソファーベンチまで移動させ腰を落とさせる。
俺の背に着いてきていたギャルが訊ねてくる。
ねぇねぇ、マッハ、こいつどうするの?
( マッハとは俺の呼び名 )
どうするって?
だって、刃物の持ってるのは、銃刀法なんちゃらで、刃物向けてきたのは傷害?殺人未遂とか、じゃね?
まぁまぁそうなんなだけど、誰も見てないし、それに怪我もしてないしなぁ…
俺は辺りを見回しながら返事をする。
いやいや、マッハやったから刃物に気付いたし、受け止められたんやし、他の人やったら事件になってたで!
うん、まぁ、でも、何か訳ありやと思うし、一応、話し聞いてみようや。
ってな訳で、ペチペチ、パチパチ、頬を平手で軽く叩きながら声を掛ける。
おい、おい、目、開けろよ!
ペチペチ、パチパチ、おい、おい、目開けろよ。
う、うぅ〜、と僅かに呻きながら奴が目を開けた。
う、うぅ〜うわ〜、妙な声を出しながら妙な動きでもがき始める。
しー、しー、落ち着けよ!
奴の目を見ながら声を掛ける。
はい、深呼吸して〜吸って吐いて吸って吐く。
ええか?ちょっとは落ち着いたか?
奴は、意外と素直に俺の言葉に合わせてスーハースーハーしてから、うんうんと頷いた。
ほな、まずは、お前は何者や?
ぼ、ぼくは、シュウサイと言います。
俺と会ったことあるか?
ブンブンと頭を振りながらシュウサイ君は言った。
い、いえ、はじめましてです。今日、ここではじめまして見かけました、けど目が離せなくて…
だよなぁ、俺とは全然違う種類の人間だよなぁ、で、何で俺に刃物向けてきたんよ?
あ、あの、後の、後のレディは、まるで女神さまじゃないですか!?そんなレディな女神さまと腕組みして歩いてる、チャラチャラとしか生きてないであろうと思える、あなたに無性に腹が立って、何だか世の中、間違ってる!と思って…
は?レディ?女神さまって?
思わず俺は振り返り後に立っているギャルを見た。
今、俺の後に立っているレディな女神さまで、俺と腕組みして歩いていたレディな女神さまは、俺のステディガールのニコルである。
( ニコルは彼女の呼び名 )
振り返るとニコルと目と目が合う。
知ってる奴を?シュウサイ君だってよ。
え〜知らない〜見たことも会ったこともな~い。あっさりとけんもほろろの一言。
俺は、奴に向き直り続けて訊ねた。
だとさ、改めて始めっから喋ってみなよ。
すると、奴は、シュウサイ君は姿勢を整えると大きく息を吸ってから事の成り行きを喋り始めた。
ぼ、ぼくは、30年間まじめにマジメに、コツコツと目立ちもしないように、はしやぎもしないように過ごして生きてきたのに、一度も彼女とか恋人とか出来たことも無い…それどころか女性と楽しく時間を過ごした事も無いです。
なのに、なのに、あなたは、何だか派手で目立って、チャラチャラなのに、こんなに素敵なレディな女神さまと腕組みして、楽しそうで、こんなの世の中間違ってるだろう?って思ったので。
まぁまぁ、確かにシュウサイ君と俺を見た目重視で比べると地味男とチャラ男で真逆ではあるけどさ。
アイボリー色のキャンパス地スニーカーなシュウサイ君。
朱色に黒色の隈取りでデザインされたレザースニーカーな俺。
グレー色のスラックスみたいな折り目の効いてないだっぷりパンツなシュウサイ君。
インディゴブルーで膝破れダメージのスーパースキニーデニムパンツな俺。
色白な肌色にホワイト地に濃いブルーの縁取りラインのポロシャツをしっかりボタンは全部閉めのシュウサイ君に対して、俺はこんがり焼けたクッキー色の肌色にワインレッド色のTシャツの胸には、ゆるいアヒルのイラストにロックン・ロールのロゴがゆるく書かれている。
黒髪をきっちり七三分けに整えられたのシュウサイ君の髪型、銀だかグレーだかわからない髪色に整えたんだか整えてないんだかわからない髪型の俺。
ハァ~でもさ、それって、シュウサイ君が間違ってる、ただの嫉妬ってやつだろ、俺を刃物で刺して、何か解決する訳?
いや、わからないですけど、何か衝動的にでした。
っうかさ、いつも刃物、持ち歩いてんのか?
はぁ、一応、護身の為に。
え〜シュウサイ君ってばさ、君から刺してきたのに護身じゃねだろ!
す、すみません。でも刺さらなかったですよね?
いやいや、そういう問題じゃねーよ、もしも刺さってさ俺が死んだからって女神さまは君になびきはしないよ。
う、うぅ、ぼくは、どうしたら良いんでしょか?
どうしたらって言われても自分でまいた種やろ?
はい、ぼくは、ただ女の方と楽しくお時間を過ごせる男になりたいだけなんです。
そう言うとシュウサイ君は黙り込みうつむきなにやら思案を始めた。
シュウサイ君との会話が途絶えたタイミングで後ろから、ツンツンと俺の背中を突いてきたニコル。
ヤバイよコイツ、もう良いからほっとこうよ〜。
おぅ、それも一理ありだな。
俺は、ニコルの言葉に頷き、シュウサイ君に向き直り言葉を掛けた。
一応さ、事件起きないように刃物は没収な。んじゃ、俺らはバイバイするから真面目に生き続けろよ。
すると、突然、シュウサイ君は立ち上がり俺に向かって上半身を思いっきり前に折り曲げ、礼をすると声を出した。
弟子に、弟子にしてください、師匠になって下さい!よろしくお願いします!
えぇ〜いやいや、ちょ〜待てよ、無理無理無理〜、ってか何の弟子?師匠?
それは、勿論、女の方と楽しくお話ししたり過ごしたり出来るための師匠で、弟子です!さらに欲を言えば、レディな女神さまと仲良くなる為です!
あちや………
なんて夢を、昨夜見ました。
終わりにします。