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爆弾
爆弾のような花火が街を駆け巡る頃、あなたのことを思い出すのです。どこかできっと同じ花火を遠い所で見ていること、そんなことばかり願ってしまいます。
薫風が耳を貫いて汗ばんだ肌を夏蝉が馬鹿にして、私は熱帯夜に溶けてしまいそうです。
「親愛なるあなたへ。
私は私になれるでしょうか?こんな体でこんな見た目で、自分を愛せるでしょうか。
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか?あなたの全てをぶち壊すような、そんな夏になりたい」
街は哀で満ちています。途方も無く熱が熟れていて、窓越しに見える祭り囃子に黄昏るばかり。
蚊取り線香の匂いすら全てが愛しく思えていて、永遠なんてものを思ってしまいます。
あなたもきっとお金とか生活とかに染まりながら、大切な何かを探していますか?
「親愛なるあなたへ。
あなたを思うたび嫌いになって、嫌いになって苦しくなって、そしてまた好きになります。
親愛なるあなたの言葉は爆弾のようで、私の全てをぶち壊すようなそんな夏でした」
上手く飾って、上手く並べて、綺麗にできましたって人生を。
捨て去ってしまって私はぼーっと打ち上げ花火を見てます。
あなたが書いた詩を、私は少ない脳でなぞるだけ。泳ぐだけ。金魚鉢の中の様。
「親愛なるあなたへ。
私はいつか私になって、さよならが全て愛おしいことを、必ず証明してみます。
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか?あなたの全てをぶち壊すようなそんな詩を書きたいのです。
あなたの全てを見下ろせる様なそんな夏になりたい」
「そんな夏になりたい」