公開中
episode10
ドズルside
昼ご飯も食べて、五時間目。
今回は占星学らしい。これ、あんまり得意ではないんだよな。
おらふくんを挟んで向こう側のぼんさんは先程からずっと寝ている。
起きてくださいと何度言っても起きないから諦めた。
うん、諦めざるを得ない。
「それで、赤月の計算の仕方は……。」
う〜ん、計算は行けるんだけどね。他がちょっと難しい。
だいぶ魔力消費するからな〜……占星って。
ぼんさんが寝るのもわからんでもないか。
「よし、今日はこれまで。」
先生が教科書を閉じて教室を出ていく。
僕はふーっと一伸び、三貴子組はもう帰る準備を整えている。
リュックの中に見えたのは、石の斧と金ブロック。
「またドラゴン退治行くの?」
「はい。まだまだベスト更新できそうなので。」
「じゃあ僕も行く。ぼんさん起こすからちょっと待ってて。」
とりあえずぼんさんは起きなさそうなので担いでみる。
やっぱり軽い。身長は僕より高いはずなのにな。
なんて思いつつ、僕は二つのリュックサックを両腕にかけた。
「ゴリラ……。」
「なんかドズさんって感じ。」
なんか変なことした!?と突っ込んで、僕は教室の窓を開ける。
透き通るような青空。西へと傾く陽の光。
「行こっか。」
ベリンゲイ555と改造ファンカーゴを手にとって、浮遊魔法で浮かせたぼんさんを箒に乗せる。
おんりーたちも箒に乗って、窓から飛び出した。
ぼんさんは朝のように飛びながらも寝ている。
ちゃんと夜に寝ればいいのに。
ドラゴンは日の沈む方角にいる。その巣は何度も訪れた。
ドラゴンキラーズ。僕らにつけられた異名。
幼い頃から暇を持て余した三貴子と僕らは、ドラゴンの巣に行ってはドラゴンを倒していた。
どれだけ強いやつでも、みんなでかかれば怖くなかった。
「今日は何縛り?」
「魔法なしの石斧だけ縛りです。」
それでもおんりーのことだ、20分もかかることはない。
MENとおらふくんも斧をどこからか出している。
ドラゴンに対してオーバーキルになるんじゃないか?
まぁ……手加減はなしでいいか。
「ん〜……どずさ、ん…」
「ぼんさん、起きました?」
ぼんさんがようやく起きた。状況は多分飲み込めていない。
キョロキョロと周りを見渡している。
「そら、ちかい……なん、で?まだじゅぎょーとちゅうじゃぁ……。」
「ぼんさん、もう放課後ですよ〜。」
こっくりこっくりやりながら、ぼんさんはまた睡眠に入ろうとした……その時だった。
「なんで飛んでるの!?」
「あ、目醒めました?」
「え、え!?空っ!?」
ようやく自分が飛んでいることに気づいたらしい。
ようやくですか、と笑うと、ぼんさんは全力で箒を反対方向に向けた。
「ちょっと。どこ行くんですか、ぼんさん。」
「帰る!!ドラゴン退治は嫌ぁぁ!!」
「わかってるなら行きますよ〜。」
こういうときはやっぱり筋肉!!
僕はぼんさんの首根っこを掴んで引っ張っていった。
「サボらせません。」