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入学
ブルルルルル…キキーッ!
「…誰?」
|わたし《むらさきざくら》はそうつぶやく。
「あー…」
誰かの透き通った声が、若干耳に響く。
「またのばら!?」
「??」
のばら、と呼ばれた彼女はだいぶ派手な格好だった。
「ねえ、のばら!何やってっ…」
「別になんじゃ?我は登校しただけじゃ」
大きめのコートをかぶった子と、派手な子がやりとりする。
「なんなんや…」
オレンジ髪の子が、そう呟く。
わたしは知らなかった、彼女らと特別な活動を進めることに…
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わたしは「む」だから、後半だ。
席に座る。多分だけど、出席番号順だ。
確か、だけど…|水色紅葉《みずいろもみじ》さんだ。
「紅葉さん、ですか?」
クルリと私の方へ向いた彼女は、見覚えがあった。
「そうです。貴方は…|村崎咲良《むらさきさくら》さんでしたよね」
「そうです、あなた、のばらさんとかと…」
ああ、と紅葉は呆れ声で言う。
「彼女は|紅呂野葉羅《あかいろのばら》、あのすみっこに座っている人です」
そうだ、そうだ。
「知り合いなんですか?」
「はい。この私立色花学園に入学しようと決めたんです。彼女は車登校をよくしていて、理由は知りませんが」
そう談笑しているとき。
「っ!ご、ごめん!前がそんな見えてなくてん…拾ってくれてありがとーな!」
明るいオレンジ髪の、四葉のクローバーの髪飾りをした子が言う。ノートをばさばさっと落としてしまったみたいだった。
「うちは|木翠四葉《きみどりよつば》。よろしくな!」
「よろしくね」
不思議と、呼び捨てで呼びたくなるような雰囲気。楽しそうな感じ。
わたしたちの物語は、幕を開けた__