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【第参話】ようこそ妖冥界へ。
【前回のあらすじ】
面倒くなっちゃった☆(は?)
いやね?本編書く前に気力がここで削がれるもんで……
ということでこれからは前回を閲覧ください。
〜沙雪 side〜
*ビュウゥゥゥ…!!*
**沙雪「きゃああぁぁぁ!!?」**
**竜翔「わあぁぁぁ!!!」**
触手は空中に私たちを投げ出して、そのまま地面へ消えていった。
私は空気圧で動けず、灯和に抱かれたまま落ちてゆく。
目線を動かすと、鬱蒼とした森が目の前まで迫っていた。
灯和「…っっ!!!」
ガシッ!
***ぐるんっ!***
竜翔「わぁ!?」
沙雪「きゃっ!」
突然体が一回転し、私と竜翔は小さく悲鳴を上げる。
それから間も無く、体に大きな衝撃が伝わる。
**どすんっ!**
その瞬間、顔にうけていた風が突然に止む。
私は警戒しつつもゆっくりと体を持ち上げる。
竜翔「いてて……あ!沙雪ちゃん!大丈夫!?」
沙雪「あ、うん!竜翔くんは?」
竜翔「ボクも平気!」
__灯和「…………………重い…………」__
沙雪「え!!?」
咄嗟に下を見ると、私たちの下敷きになった灯和の姿があった。
多分、枝を掴むなりして私たちが上になるようにしてくれたのだろう。
沙雪「ごっ、ごめんねっ!!!」
竜翔「うわぁ!?だ、大丈夫灯和!!?」
灯和「……うん…僕は平気だよ………それよりも…」
そう言いながら、灯和は体を持ち上げる。
灯和は着物の土を払いながら空を見上げる。
私たちもそれにつられて見上げる。
灯和「………ここどこだろう……」
沙雪「……変な感じ…」
周りには空が見えないほどの木々が茂っていた。
しかし私たちの山と違い、どこか薄気味悪く、威圧感があった。
空には、全てを飲み込むような黒い雲が浮かんでいた。
そして、その雲からは、耐えることなく雨が降り続けていた。
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〜天舞 side〜
**天舞「ふんぬぅああぁ!!!」**
**猫葉「んにゃああぁ!!!」**
**すぽーんっ!!**
天舞「……っはあーー!!!つ゛か゛れ゛た゛〜……」
猫葉「ふぅ〜…地面に突き刺さるお主、かなり滑稽じゃったぞ……」
天舞「うるせー…お前だって猫のくせに背中から落ちてただろうが…」
**猫葉「急に木の上に放り出されたらバランスも取れぬわっ!!」**
天舞「………で、ここどこだよ?こんな草原来たことないぞ?」
猫葉「妙な気配がするのぉ…」
天舞「ん〜、ちょっと待っててくれ。よっ!!」
***バサッバサッ!!***
猫葉「おーい天舞ー、何か見えたかー?」
天舞「えーと…お!あっちに森があるぞ。」
*バサッ…*
天舞「…っと!じゃあ取り敢えずいってみるか?誰かと遭遇できるかもだし。」
猫葉「それもそうじゃな〜。よし、行くとするかの。」
__てちてちてち……__
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〜火影 side〜
火影「…………っ…」
突然触手に掴まれたかと思えば、急傾斜の岩山に投げ出された。
そのせいでで尖った岩山を転げてしまい、体を何度も強く打ってしまった。
幸い、尻尾のおかげで大きな怪我はなかった。
火影「……他の奴らは…」
私は全神経を耳に集中させる。
しかし、耳には風の音が聞こえるだけだった。
__*ズキッ……*__
足の痛みで集中も長く続かず、私はかすかに顔を歪める。
恐らく衝撃で足を挫いたのだろう。
火影「………とにかく、探してみるしかないか。」
私は近くに落ちていた枝で足首を固定して立ち上がる。
そして足を引き摺りながら、遠くに見える森に向かって歩き出した。
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--- *おいで。おいで。* ---
--- *ようこそここは『妖冥界』。* ---
--- *妖怪たちが集う場所。* ---
--- *この世の秩序を護る場所。* ---
--- *ヒトに堕ちた妖怪は、* ---
--- *この世の秩序を壊すから。* ---
--- *みんな君を待ってるよ。* ---
--- *ずっとずっと待ってたよ。* ---
--- *「早く食いたい」「早く殺りたい」* ---
--- *みんなみんな狙っているよ。* ---
--- *おいで。おいで。* ---
--- *さあ、おいで?* ---
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第参話 〜完〜