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グリサイユの空
グリサイユグリサイユうるさくてすいません。
カフェの中に走り込んできた人物は小柄な少年で雨に打たれずぶ濡れだった。
手に持っている傘はひしゃげている。傘が壊れ途方に暮れていたところこのカフェを見つけ急いで走ってきたというところだろう。
少年はカウンター席に座りハンカチで濡れているところを拭いている。ハンカチ一個で拭き切れる量ではないと思うが。
流石に見かねたのか店員からタオルを受け取っていた。
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ナノカ「外そんなに雨降ってるんだ…」
イツカ「うちら傘持ってないね。」
ナノカ「え?私達きた時まだ雨降ってたよね?じゃあどうやって私達濡れずにここまで来たの?」
イツカ「、、覚えてないかも。というかどうでも良くなってきた。眠い。」
ナノカ「えっえっ急なホラー展開やめてよお!寝ないで!1人にしないで!」
、、、、相変わらず2人はうるさい。
でも、確かにワタシが来た時も雨は降っていた。しかしワタシは傘を持っていない。でもワタシは少年のように濡れていない。何故だろう。
ワタシはカフェに来てから幾分か時間も経っているから乾いているのだろうとも考えられるがそれなら何故先程きたイツカとナノカは濡れていない?
そういえばワタシはどうやってここまで来たんだっけ、確か路地裏を歩いていたらついていたような。
先程までうとうとしていたから覚えていなくても仕方ないだろう。
、、、、帰り道は多分大丈夫だ。
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色々と考えていたら少年が口を開いた。
「グリサイユ画法のような空だね。」
その言葉はあまりにも唐突で誰に当てたようなものでもなく浮ついていて宙に浮いていた。
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グリサイユ画法。陰影だけで塗った後上から色を乗せていく技法の事。
ワタシが通っている大学は芸大なので知らない筈はない、おそらく灰色に染まった一面の雨雲から連想して言ったのだろう。きっと重苦しい雨雲が晴れて晴天が見えてくる様はグリサイユ画法で灰色の絵に上から色をつけているときのようにワクワクするものなのだろう。
その様を想像し、この少年はなんて表現力があるのだろうかと感心していた。
早速メモを取らせて頂こう。ふむふむ。
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ナノカ「ぐりさいゆがほう、、、?」
イツカ「グリサイユ画法。グレースケールの上からオーバーレイで色を乗せていく技法ね。」
ナノカ「ぐれーすけえる。おーばー、、ウン。ヨクワカッタ。」
イツカ「なんも分かってなさそうなリアクションやめてよ。」
ナノカ「私そっち系はよくわかんないんだもん。イツカは好きだからわかるだろうけどサ」
イツカ「好きこそ物の上手なれってワケ」
ナノカ「使い所違くなーい?」
作者は絵を描くのが大好き、Twitterとかでよく絵をあげたりしている。
厚塗りが大好きなのでワンレイヤーチャレンジとか良くしてる。