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クラスメイト
百々「さて!ここがあなたのクラスです!」
そう言われて、明らかな違和感を感じる私と杏さん。
杏「先生?ここ、3年棟よ?」
百々「え?3年生じゃないの?」
琉莉奈「私……2年生です……」
百々「え、あ…あれ!?ホントだ!!」
私のデータらしきものを見ながら納得する先生。
杏「もう……しょうがないわね、先生は」
百々「えへへ……まぁ、気を取り直して!」
と、背中方向に早歩き。
百々「……っと」
今度着いたのは、さっき通った棟だった。
百々「っていうか、なんで通った時に教えてくれなかったのよ杏~」
杏さんが少し気まずそうに言う。
杏「だって先生、自信満々で歩いてたもの、注意しづらいったらありゃしないわ」
百々「も~……!あ、ここだよ、2年B組」
杏はC組戻ってていいよ、琉莉奈は一旦待ってて、と、一足先にB組の教室に入る百々先生。
百々「は~い!こんにt」
ツルッ **ズデッッ**
音だけで、何が起こったのか容易に想像がついた。あははは、とあきれたような笑いが聞こえる。
「先生、また~?」
しかも今回だけではないらしい。どこまでドジなんだ、この先生……。
百々「あはは、やっちゃったよ、また~。じゃ、お知らせがあるから静かに!」
教室から、外にいる私を手招きした。私はロボットみたいにぎこちない動きで教室に入った。
ざわざわ、ざわざわ。
ふと、あの教室を思い出す。あの不快な空間を。けれど、此処はなにかが違う。
……あ、そうだ。この空気は、ただの純粋な興味だ。嘲笑とか、そういうものじゃない。
けれど、それがいつ牙を剥くか。分からない。警戒心は、まだ解けない。
琉莉奈「わ、私の名前はっ!しのぬっ」
背中を冷や汗がつたった。
噛んでしまった。よりによって、自分の名前を。
……けど、私が思っていた反応とは、まったく違った。
私を笑う人はいなかった。
百々「大丈夫だよ、深呼吸」
先生が、私をゆっくり諭した。
琉莉奈「……東雲琉莉奈です」
「ようこそ~!」「よろしく!」
みんな、笑顔だ。綺麗な笑顔。
百々「はい、拍手もそこまでにして。じゃあ、琉莉奈は、この席ね!その、空いてる席!」
百々先生が、手前の空席を指差した。私はまだぎこちない動きで、その席に向かった。
椅子を引いて座りながら、ちらっと隣の子を見た。明るい顔の、活発そうな女の子。
緊張。
隣の席の子っていうのは、敵に回すと厄介。なにかと一緒に行動することが多い。
??「ねぇ」
突然、彼女に話しかけられた。
琉莉奈「えあ、はっ」
??「名前、ルリナちゃん、だよね?」
呼び捨てでもいい?と聞かれ、とりあえずはいと答える。
|璃心《リコ》「私、|鈴鹿《すずか》璃心。よろしくね、琉莉奈!」
いつの間にか、私の緊張は笑顔にほぐされていた。
琉莉奈「よろしく、お願いします……!」