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「そうじゃな、それは良い案かもしれぬな」
そして俺は気がついた時には家に帰ってきていた。いつの間にかチーズナマコを作っていたらしい。そして出来上がったチーズナマコは今まで作った中でも一番の出来で、チーズのような甘さで、しかも少しだけ塩の味がする不思議なチーズナマコが出来上がっていた。俺はそれを神へのお土産として持っていこうと思い、また神の所に向かうことにした。
「神様!これ美味しいっすね!」
「うむ、そうだろ!そうだろ!神が作ったのじゃから当然じゃな」
俺は神の所で、神の作ったチーズナマコを食べていた。俺が持ってきたチーズナマコを美味しそうに食べている。
神は嬉しそうな表情をしていた。神は自分のチーズナマコを食べて欲しいと思っていたのだろう。神は俺が買ってきたチーズナマコの話をするととても喜んでくれた。そして神と一緒に食べることになった。
「これはチーズのような物じゃが、味は違うものじゃからのう、チーズのようにはならないのじゃ」
「いやいや、それでも十分に美味しいですよ」
俺は神の作ったチーズナマコを頬張っていた。口の中で溶けていく感じですごく美味しい。
「しかし神よ、このチーズナマコという食べ物は、神の料理という事で売った方が売れるんじゃないか?」
「そうじゃな、それは良い案かもしれぬな」
神は何かを思いついたらしく、自分の持っている袋の中から、紙を取り出した。そして神の持っている紙には神の文字が書かれていた。
『神の食べ物 チーズナマコ』
そう書かれている。神の持っていたチラシは神の店の前に貼るためのものだったようだ。神はその神の料理を、神の店の前の壁という壁に貼り付けて行った。神の料理であるチーズナマコの宣伝をして行く。俺はその様子を見て、「神の料理ってそんな事までできるのか?」と不思議に思った。神は何回も何枚も、神の店の前の壁に貼って行って、全て貼り終えた。
神の料理であるチーズナマコの宣伝を終えた後、神はこのチーズの山を持って、教会に向かって行った。俺はそれをただ見ているだけしかできなかった。俺には何も出来ないからな。俺が神の背中を見ながら、神の手伝いをしたいという気持ちになっていたその時に、俺はふと疑問が浮かんできた。
「あれ?チーズって神が作っているんだよな?ということは神の料理はチーズなのか?」
俺は神の作る料理のことを考えていたが、結局は分からずじまいで、家に帰った。神がチーズナマコを売ってくれるか心配だが、まあ、神なら何とかなるだろうと思った。
それから一週間ほど経ったある日のことだった。
神が俺の家に来た。いつもの調子でやってきたものだから、「あ、久しぶり」とか言って来られたので、「ああ、どうした?」などと聞き返してしまった。そして神は「うむ、これをやろうと思ってな」と言って、一つの瓶を差し出してきた。
中には液体が入っていた。色は薄い青色だ。そしてその液体からは、いい匂いがしてくる。そして、そのいい香りの正体はなんとなく分かっていた。「おお、これはもしかして、もしかしなくてもワインじゃないですか」
「うむ、そうじゃ、これは神が飲もうと取っておいたのじゃが、特別にお主にやるのじゃ」
「ありがとうございます。でも良いんですか?神様のお酒なのでしょう?」
「よい、よい、神の酒をお主が飲むのは、神の使いとしての誉れでもあるのじゃからな」
「では遠慮なくいただきます」
俺は神からもらった、ビンに入っている、神の酒を口に含む。口に含んだ瞬間に広がる芳しい葡萄の味わい、しかし、飲み込んだ後の舌に残る、ほのかな苦味が印象に残った。
「・・・うっ・・・んぐ・・・ぷはぁ」