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第七話 『再会』
「‥って言ったけど‥なんかさっきの自己紹介キモくなかった?」
「キモいだなんて思っていません!カッコいい挨拶でしたよ!『僕の名前は』‥」
「言わなくていい言わなくていい!!‥にしても、あの声なんだったんだろう‥」
「あの声、とは?」
「あ、えっと、No.ってあるでしょ?あれ、僕全然知らないけどなんか頭の中で声が聞こえて‥テレパシーみたいだった。」
「誰かが教えてくれたのでは?No.302235でしたっけ!」
「うん、そのはずだよ。」
「では声の謎も解けたところで!他の魔法少年達が集まっている広場へ向かいましょう、アリス様!」
「‥うん、だけど広場ってどk」
--- 「離せ!!!」 ---
「!」
この声、間違いない。あの時の男の子だ。
やっぱりここへ来てたんだ!また会えた!
「また暴れていますねぇ、あの少年。」
「?」
「彼が抵抗している部屋、あれはさっきまでアリス様がいた名付け部屋です。きっと暗闇が嫌なんでしょうけど‥」
「嫌だ!離せ!!」
「‥耳、あれなんの動物なのかな、」
「狐だと思いますよ!彼のサポート係が狐ですので!」
「あ、これサポート係と同じ動物になるんだね。」
「はい!」
「嫌だ、暗闇の中は嫌だ!!離せよ!!名前なんかいらない!!」
「‥大人しくしろ。電気をつけてもらえるよう頼んだ。少し入って待ってればいい。」
「嫌だ、やめてくれ!!」
「‥」
彼の顔は酷く青ざめていて、目は不安げに揺れている。冷や汗が出ているし眉も下がっている。
‥彼、本当に暗闇が嫌みたい。
「大人しく入れ、待ってれば電気がつくと言っている。」
「だから、つくまで外にいてもいいだろ!!」
「‥あ、あの、!」
「‥誰だお前。」
「ば、僕はアリスです。魔法少年の!」
「あぁ‥Kがサポートの奴か。」
「‥あの、彼のこと離してもらえませんか?」
「は‥」
「‥何故だ。」
「いや、暗闇が嫌そうだし、無理して入れる必要ないなって‥それに、電気つくまで待っていればいいですし、!」
ヤバいヤバいヤバい、見切り発車で飛び出してきたせいで心臓バクバク‥!
『無理』とか言われたらお終いだよ‥!
「‥魔法少年が安心して戦いに出れるようにサポートするのが私達の役目だ。Fがその子を不安にさせてどうする。」
「え‥」
なんでKが乗ってくれるの‥?あ、サポート係だからとかかな‥?んー‥思ってたより優しい。
「だが時間が‥」
「将来の“英雄”の誕生だと思えば時間押しても大丈夫だよ。彼の方だってきっとお許しになる。‥だけど、君が彼を無理やり入れようとしてるなら、お許しにならないかもしれない。」
「‥わかったわかった、離せばいいんだろ。」
「うわっ!!」
彼はいきなり後ろで抑え付けられていた手が離されたせいで前に倒れそうになった。倒れる先は階段‥倒れたら絶対痛い!!
--- ギュッ ---
頭が追いつくよりも先に、体が動いていた。
--- ドサッ ---
「アリス様!!」
「い‥あ、だ、大丈夫、?」
「‥なんで。」
「え?」
「なんで助けたんだよ。お前、俺の事何も知らねぇ他人だろ。そんな奴を態々自分が下敷きになってまで助けるとか‥どうかしてる。」
「あ、あはは‥でも、人が危険な目にあってたら助けたいと思っちゃうんだ、僕。」
「‥変な奴。いつか絶対痛い目あうだろうに。」
「あってもいいよ。だって、魔法少年ってそういうのでしょ?」
「‥」
「ねぇ、君の名前は?」
「‥俺は‥」
「アリス様ァ!!その少年はまだ名付けしていません!本名を聞けばアリス様も少年も身バレしてしまい、危険な目にあってしまうかもしれません!!」
「そうなの!?」
「名付けしてからお名前を聞いてください!!」
「う、うん。‥あ、僕広場ってところ行かなきゃ、!またね!」
「‥」
「アリス様!大丈夫ですか!?頭から血が!」
「え?‥あー‥階段から落ちた時かなぁ‥」
「そんな!私の予備包帯をお使いください!」
「えぇ‥ありがとう?」
--- コツ‥コツ‥コツ‥ ---
「‥お前も行くぞ、|霧島凛《きりしまりん》。」
「‥あぁ。名付け室だろ。」
「電気がついた。早く行かなきゃ集まりに遅刻する。体が痛くてもさっさと上がってこい。これから先はそれより苦しい事が待っているんだからな。」
「‥痛みには慣れてる。」
--- ギィ‥ ---