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秋 賑やかキノコオムライス
「お母さん…うう」
そう、もさもさ生えた紅葉の葉を気にせず、|山田 壱佳《やまだ いちか》は、とぼとぼと歩いていた。
私は、完全引きこもりニートで、ばあちゃんがやってきた時に、「なんで、家から出ないんだ!」と怒られ、そのことを理解しているお母さんも、仕方なくお金を私に渡して、「これで、どこか行って来なさい」と諦めたように言われた。
「ほんとにばあちゃん最悪。」
そう言って、石をポンと蹴ると、紅い看板にあたった。
「綺麗な店」
つい声を出してしまい、気づいたら店に入っていた。
カランコロン
どうやらカフェのようで、いい匂いが漂った。
「いらっしゃいませ」
そう、紅葉のような、鮮やかな化粧をした女性の店主?の人に言われた。
「あっはい」
急に言われてびっくりしたが、答えた。
「こちらにどうぞ。これが、メニュー表です」
そう渡された表を見てみると、美味しそうなものばかり。他のお客さんが食べてるものもいい匂いがして、早く決めて食べるかと思い、メニュー表をじっくりと見る。
そして、私の目に留まったものは、「キノコ色とりどりソースオムライス」だった。
「おしゃれだなぁ」
つい声を出してしまったが、バレずに済んだ。
そんなことより、ちゃんと食べたいことを伝えないと!
「あっあの、このキノコオムライスください」
ちょっと伝えられた。
「はい!」
綺麗な声で、店主さんが言ってくれた。
待っている間、暇だなぁ、スマホ置いて来たしなぁ、と思っていると、さらにいい匂いが立ち込めて来た。
「⁉︎」
慌てて厨房を覗くと、いろいろなキノコが使われたソースが、いい匂いを放っていた。
そういえば……
まあいい。
それより、こんなに外が楽しいことなんて、初めてだ。
「どうぞ」
そう出されたオムライスは、たくさんの種類のキノコソースが、賑やかにオムライスに流れていた。
「美味しそう!」
そう思い、すぐにスプーンですくって口に入れる。
たくさんのキノコが混ざって美味しい。やっぱり、おばあちゃんが昔作ってくれたオムライスにそっくり。本当に美味しくって、思い出が出てきて、涙がほろりと出て来た。
あぁ、今までの時間、どうやって返そう。おばあちゃんは、不器用だけど、私のことを心配してくれてたのかもしれない。
そう思って、パクパク食べ進めた。
「とっても美味しかったです」
そう言うと、ニコッと笑ってから、
「ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです。では、料金は100円です」
安い!渡されたお金の1割以下だ。
「はい、どうぞ。それにしても安いですね」
「えぇ、よく言われます。ですが、私にとっての1番価値あるものは、お客様の思い出ですので」
「そうだったんですね。これからも通わせてもらいますね」
そう言って店を出た。
私は社会に出られるように、どんな勉強をしようと思い始めた。
「もらったお金で、お母さんとおばあちゃんに、プレゼント買おうかな」
ちょっと遅れてすみません……。
なんかオムライス食べたくなってきた!
てことで、バイ彩また次回~