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絶望
拘束と監禁
リクエスト作品です。
暗い、冷たい、苦しい。
そんな負の感情が、私の体を支配している。
頭がぼうっとしてきて、お腹がなった。
いつまでこうしてたらいいんだろう。
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私はこの国の国王の一人娘。
溺愛されて育ってきた。
そんな私が、なぜ、こんなところに居るのかというと、誘拐されたからだ。
誘拐したのは多分敵国の人たちだ。
それか身代金目的の平民か。
どちらにせよ、まだ姿を見ていない。
「このまま死んだほうがマシかな〜。」
一国のお姫様なんて、羨ましい。そう思う?
実際は嫌なことだらけなの。
まずは政略結婚させられるってこと。
結婚する相手も自由に選べない。自然と交友関係も絞られてくる。立派な王族になるための訓練もあるし。
「今回は上物だ。一国のお姫様だからな。」
下卑た笑い声、不規則な二人組の足音。
こちらへ向かってくる?会話の内容的に、誘拐犯に間違いなさそうではある。
「おい、生きてるか〜?」
前方の扉が乱暴に開けられ、軋んだ音をたてた。
「...。」
逆光でよく顔を見ることができない。
入ってきたのは体格的に男2人。
見たことも無い小さな武器らしきものを持っている。
「ホントに上物だな。高値で売れる。」
男の一人が武器をこちらに向けてくる。
黒光りする謎の武器は私の額に当てられている。
「これはな、拳銃だよ。」
耳に吐息がかかって気持ち悪い。かと言って、拘束されているため身を捩る事はできない。
「殺されたくなかったら大人しくしろ。」
男は手早く拳銃を壁に向け、バンッ、と一発撃った。
「分かったか?さもないとおまけの頭に穴が開く。」
なるほど。と、内心ニヤリとした。
あれならこの2人を始末したあとに自分に向けて撃つことで死ねる。
「立て。」
私は命令どおり立ちあがった。そして繋がれていないの方の足で男の手を蹴り上げた。
意表をついた攻撃あっけにとられているうちに、床に落ちた拳銃を拾う。
使い方は、ご丁寧にさっき見せてもらった。
手の鎖を勢いよく引くと、驚くほど簡単に外れた。
まずはこの拳銃の持ち主に「お礼」をしなければ。
バンッ
男は額から血を流し、やがて倒れた。
バンッ
もう一人の男が慌てて逃げ出していく。その背中を狙って撃った。
「動くな。急所を外したじゃないか。」
腰を抜かして倒れ込む男の心臓に向けて、もう一発。
バンッ
最後は私に向けて...
バンッ
こめかみから一直線に貫いた。
意識が遠くなり、立っていられなくなる。
さようなら。後悔はなかった。
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これはその後のお話、というか回想だ。
私の死は、国中を、いや、世界中に知れ渡った。
かつて、争いの時代に暗躍した暗殺者一族の末裔。それが私だ。
そして一国のお姫様でもある。これも私。
あのとき、拳銃を持ったとき、どちらの「私」だったのかわかりますか?