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神様神社 9話
9話
「方法は簡単だ」葛西くんが私に白い石を渡す。不思議な光を放つ、この世のものとは思えない石。
「葛西君、これは・・・?」「それは神の石」「神の石?」「そう」
葛西くんの話によると、これは葛西くんが使えている神様が作ってくれたものだと言う。
これには化け物の力を浄化する力があるらしい。
「これを化け物の石の代わりに飲ませる」「でもどうやって・・・」「それが問題なんだよな・・・」「・・・あ、給食に混入させるとか・・・は?」「すぐに気づかれるだろ・・・小さいとはいえ、石が入ってたら誰でも気づくぞ」「「・・・」」二人共固まってしまった。
「そうだ、もうこれしかない」「何だ?」
「・・・言葉で交渉するんです!」「・・・ぇ?」
「あー。君も巫女さんでしょ?」「なっ・・・!?」校舎裏に呼び出したところで、葛西くんも早々にバレてしまった。というか、初対面で最初の一声がこれだ。「そんで、どういうことかはわかってるんだよね・・・そのポケットの石、どうにかして僕に貘の力を失わせたいんでしょ?」流石だ。
「でも、駄目」
ばき、と、あの夜に見た虫の足が背中から生えてくる。それが私達の方に真っすぐ伸びて・・・
--- パリン ---
と、小気味いい音を立てて、それぞれの石を粉々に砕いた。
「石が・・・!ちっ、もう言ってやる、お前らもどうせこの街を壊して、貘だけの世界にするつもりなんだろ!?わかってるんだよ、お前らみたいな奴らのことなんて――」「あの子のことを悪く言わないで」
あの子?
いつの間にか、水無月くんの様子が変わっていた。日本人に同化するためなのか、黒かった瞳は今は赤黒い。わずかに、黒い髪も毛先が白くなったように見える。
血の気を失った真っ白なその面には、今は恐怖しか感じない。
「君たちに通告するね。君たちに与えられた選択肢は、3つしか無いんだ」3本指を立てる。
「1つ目。僕たちを殺す。2つ目。街の未来は捨てる。3つ目・・・僕たちと協力して、この街を守る」
「前にもそれ言ってた・・・ほんとに、君たちの目的は何なの?」「僕たちの目的は、この街を守ること。」「この街を守る、だと?」かすかに怒りをにじませた葛西くんを、水無月くんは一瞥する。
--- 「僕たちは僕たちの|主様《ぬしさま》に命令されて、此処に来たんだから」 ---
「じゃぁね」「待って、主様って・・・!?」水無月くんは消えていく。でもこれでわかったことがある。
「このまちには、3人以上貘が居る」