閲覧設定

基本設定

※本文色のカスタマイズはこちら
※フォントのカスタマイズはこちら

詳細設定

※横組みはタブレットサイズ以上のみ反映

オプション設定

名前変換設定

この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります

公開中

二度目の人生は怠けません〜聖女の妹に嵌められた公爵令嬢、チートな魔力と剣技を磨いて未来を斬り拓く〜

雪城渚
冷たい石畳の感触と、首筋を撫でる冬の風。 ミリシャルノ・フランティカの人生は、そこで終わるはずでした。 「……見苦しいですよ、お姉様。最後までそんな顔をなさるなんて」 断頭台の上、隣に立つ妹アルシュミナ――アルミナが、扇の陰で口角を吊り上げました。 愛らしい桃色の髪を揺らし、聖女と崇められる彼女が囁いたのは、観衆には届かない呪いの言葉。 「お父様もお母様も、あの騎士様も……みんな私を選んだの。怠け者の悪役令嬢は、一人で寂しく死んでくださいね?」 鈍い音と共に視界が回転し、ミリシャの意識は暗転しました。 自分の「怠惰」が招いた、あまりにも惨めで愚かな幕引き。 (……もし、やり直せるなら。次は、絶対に奪わせない) その強い渇望が、奇跡を呼び起こします。 「お嬢様、お嬢様!……まあ、まだお眠りですか?」 柔らかな陽光と、聞き慣れたメイドの声。 飛び起きて鏡に駆け込むと、そこには白銀の髪を乱した、6歳の自分がいました。 宝石のような金色の瞳は、まだ憎悪を知らずに輝いています。 「……戻ったんだわ。私が、すべてを失う前の時間に」 ミリシャは震える小さな拳を握りしめました。 今の自分はまだ、魔法も剣も磨いていない、ただの美しいだけの少女。 けれど、その内側には前世で後悔と共に焼き付けた「経験」と「知識」がある。 (まずは身体を鍛えなきゃ。公爵家の令嬢として振る舞いながら、裏では誰にも負けない力をつける。……そうだ、冒険者になろう) この国で冒険者になれるのは12歳から。あと6年。 その間に、妹の甘い毒に蝕まれることのない、圧倒的な武力を手に入れる。 「お姉様ぁ、起きていらっしゃるの? 一緒にお庭で遊びましょう!」 部屋の外から聞こえる、幼いアルミナの可愛らしい声。 ミリシャは口元に完璧な笑みを浮かべ、鏡の中の自分に誓いました。 「ええ、今行きますわ、アルミナ。……今世は、あなたの思い通りにはさせませんことよ」 白銀の星と謳われた令嬢の、苛烈なる「やり直し」が幕を開けました。