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報告書No.???
--- 報告 ---
XXXX年X月X日、擂鉢街にて。
《《4組織》》の争いが絶えない、そんな裏社会でポートマフィアが或る組織の殲滅に動いた。
しかし、その組織はもう機能していなかった。
本部に広がるのは血痕。
突入部隊によれば「まだ完全には乾ききっていない」らしい。
奥へ足を進めるほど、生暖かい鉄臭い香りが濃くなっていく。
トップがいるであろう部屋に着いた部隊は、少しだけ開いていた扉から覗き込む。
「辞めろ」という声が響く。
目隠しをされた男が、手足を縛られて椅子に座っている。
だが、命乞いも虚しく男は殺された。
その場にいなかった人物には到底理解しがたいと思う。
しかし、殺したのは少年だった。
紺色の髪は綺麗な夜空のよう。
瞳は晴天の空色。
誰もが思わず見とれていると、少年は手に持っていた|手術刀《メス》で口の端を切り始めた。
遺体の姿は、道中も異常だった。
全員、まるで口裂け女のようになっていたのだ。
一人の男が室内に入って問いかけた。
「君は、何をしているんだ?」
「えがおにしてるの」
「……笑顔?」
「みんな怒ってるから、えがおにしてあげないと。泣いてる人も、えがおじゃないと母様に怒られちゃう」
事情聴取のため、ポートマフィア一同は少年を保護することにした──。
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「……一人で殲滅、ねぇ」
ふぅ、と元首領の森鴎外は溜息をつく。
片手には珈琲があり、エリスが端の方でジュースを飲んでいる。
「森さん、用ってなに?」
「中也くんが暫く紅葉くんのところへ行くだろう? だから君は彼ところへ行ってきてもらおうかと」
「……誰?」
「スリーブ・ヴィクトリア。ポートマフィア専属のエンバーマーだよ」