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シロツメクサに思いを込めて。 8『父』
凛花sideです。
前書きのネタがなくなってきました。
『んーっとね、じゃあ……まずは、入口のほう向いて?』
「ほーい。」
唯が軽く返事をして、くるりと後ろを向く。ちなみに私は元々入口のほうを向いていたから何もしなくてヨシ!
やったね。
エネルギー消費が少なくて済むよ。(?)
「次は?」
鈴音が問う。
『んっとね。ちょっと待ってて。』
「はぁ。」
呆れた声を出す海水。
どうした。ぶりっ子。
「もぅ。海水、疲れたぁ…。なんなのよ…さっきから命令ばっかり……。」
誰もその言葉には反応しなかった。
確かに海水の言う通り疲れている。
でも…………。
さっきの鈴音の演説(もどき)を聞いたあとだからだけど、少しばかり……いや、感情のほとんどが《《罪悪感》》で埋められていた。
『私は死んだ』
『お前たちに復讐する』
『お前たちは死ぬべきだ』
………。
私は直接手を出したりしてなかったし、菜見のいじめられている姿を見て笑うこともしなかった。
でも、誰にも相談せず、やめろとも言わず、ただ棒立ちで見ていた私は《《傍観者》》と言う名の《《加害者》》なのだ。
これは受けて当たり前の罰なのだと実感した。
『あっ!ゆーふぉー!』
ジュウロクがわざとらしく声を上げる。
「おい、そんなのに僕らが引っかかると思ったの?」
『ふふっ。お兄ちゃん。落ち着いて。今…………楽にしてあげるから!!』
ジュウロクが不穏な言葉を放ったのち、首にわずかな痛みを感じた。
「…っ!?……ひな……た…」
隣で立っていた日向がばたりと倒れて後、私のそれにつられるかのようの力無く倒れたのだった。
---
「……か…。…りん………。凛花!!」
「はいいいいいいいい!」
パチっと目を開くと、そこには唯の顔が目の前にあった。
「……唯!顔近い!距離感バグったか!?」
なんと、唯の顔は私の顔から3cmぐらいしか離れていない場所にあったのです。
「あららららら。ごめんね。」
「いや…別にいいけど…。」
こんな普段通りの会話をしていた物だから、一瞬、ゲームに参加中であることを忘れてしまった。
「凛花ー。こっち来てー。」
「あ、鈴音!了解!」
「かーい!」
ちょっと離れた場所にいる凛花の元へ駆け寄る。
この景色を見る限り、私たちは屋上にいるらしい。
これ、第二ゲームクリア判定になるかな……。
「1、2、3……。よし、全員いるな。」
日向が人数を数え終わった頃。
屋上に取り付けられている扉がバッと開いた。
「こーんにーちはー!!みんなのアイドル、ジュウロクだよっ!☆」
そこに居たのは……。
「菜見っ!?」
日向が声を出す。
そりゃそうだわ。
兄妹なんだし。
「久しぶりっ!お兄ちゃん!そ、私はみんな知ってる、春川菜見だよっ!イエーイ!!」
場の空気が読めないのかどうなのか知らないけど、絶対に今の雰囲気には合わない明るい声を菜見は出す。
神経、どうなってるん?
「なぁ、菜見。これはどういうことだァ?」
「もうっ!不登校くんは気が早いなぁ!」
不登校くん————。そう言って菜見は質問をした本人、竜野の方を見た。
「…ッ」
「今から説明するから、ちゃぁ〜んと聞いてね!わかった?」
「…あァ。」
菜見に不登校くんと呼ばれた竜野はさっきより縮んで見えた。
「さてさて!まずは……私の正体!って言っても、もうバレてるけどねw
私は菜見。正真正銘。なぜか知らないけど自殺して死んだっていうふうに世間では言われちゃってるいじめられっこちゃんだよ!」
きゃぴきゃぴと言う。
………何かが狂っている。
いじめられている時はこんなにキャピキャピしてないし、それはいじめられる前でもそうだった。
でも……。このはしゃぎ具合は元々の性格とは思えない物だった。
「なぜ君たちをここに呼び出したか。それは〜〜!!
私に正体に気づいちゃったから〜!!」
「え?」
思わず声が漏れる。
なにそれ。
そんな理由?
「私の正体がさ、クラス全員にバレたらあんま良くないのよ。だから!!」
「は?」
「これからもゲーム続けるからさ。バレたら面白みないじゃーん!!」
みんなポカンとしている。
そりゃそうだ。
この馬鹿馬鹿しい理由のためにわざわざ呼び出されたのだから。
「そうそう!私の協力者を紹介するね!では〜〜どうぞっ!」
ぱんぱかぱーんと言いながら菜見は手をぱちぱちさせる。
そこに現れたのは________。
「お父さんッッ?!」
私のお父さんだった。
「やぁ。凛花。」
「お父さん!?なんで!?」
もしかして、助けに来てくれた…?
なんて、淡い希望はすぐに砕かれた。
「お前にはガッカリだよ。」
「え…?」
「あの…。《《東首相》》がどうしてここにいらっしゃるのですか…?」
聞き慣れた声が聞こえた。
「ん…?君は…。」
「あ、申し遅れました。岩風夏井、と申します。」
流暢に言う夏井。
おどおどキャラはどこ行った。おい!
「岩風君か。君のことは凜花からよく聞くよ。仲良くしてくれてありがとう。」
私の父は夏井に向かって丁寧なあいさつをした。
「で?なぜ私がここにいるか?だったな。…それはいたって単純だ。春川菜見に協力するためだ。」
「はい?」
ふざけた父の返答にキレる夏井。
それは普通の反応である。
なぜなら、今私もキレてるから。
「まあ、落ち着きたまえ。理由はちゃんとある。」
こほん。と咳払いをする我が父。
言ってはなんだが、うざい。
「理由はだな______。」
「君たちが被験体に選ばれたからだよ。」
「は…?」