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永遠のカナシバリ 3日目 前編
𡚴原さんの2度目の来訪の次の日の晩も、私は悪夢にうなされていた。
__「花名……花名……」
…また同じ夢?お母さんの声が暗闇から聞こえてくる。
(……お父さん……お母さん……!)
よかった、無事だったんだ…。あの時は二人が死んじゃうみたいなことを言ってたけど、そんなこと無かったんだ……本当に良かったぁ……
「……今日はな、お前を迎えに来たんだ……花名…」
……え?迎えに、来た…?それってどういう……。不吉な予感を頑張って打ち消しながら目の前の両親を見つめる。
…しかし、悪い予感は当たったのかもしれない。あの大きな仏壇のような棚が彼らの背後に現れた。相変わらず青く、先の見えないほど深い空間が扉の開いた先に見える。
(……あ……ぁ……)
……嫌だ。
「……家族3人で……一緒に仏壇で眠りましょう……」
…嫌だ……嫌だ……!仏壇で……って……。まだやっと一人暮らしを始めて、仕事も頑張って、なのに……!
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夢はキリの悪いところで目覚めるものだ……しかし、私の夢はまだ覚めてないのかもしれない。
一度瞬きをすると、そこには𡚴原荘のいつもの天井が…いや、`《《妛原荘の》》`天井が見えた。天井は血で黒く汚れている。粘っこい汗を流して縮み上がっている私を見下ろすように、両親の姿をしたバケモノが私を見下ろしている。あの時と一緒だ…また、私は妛原荘を訪れてしまったんだ…。血みどろで、額に釘の刺さった2体のバケモノが私に近づいてくる。
(……え……?)
早く逃げないと。懸命に身を捩らせる。でも…
(え……ま、また…身体が、動かない……?)
お母さんの姿をした方が、気味悪く微笑む。
「ふふッ……`|彁名《かな》`っタら、「金縛り」で動ケないみたイね」
(……金縛り……?なんだろう、何か違和感が……)
もう片方の、お父さんの姿をした方も口を開いた。
「よォし、父サんが身体を支エてやるぞォ、`彁名`」
(……違う、私の名前は……、あれ……?私……)
さらに両親が迫ってくる。
(……い、いや……っ!)
こっちに……来ないで……っ!
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(……あれ、私、何してるんだろ…)
気づくと私は両親を両脇に、玄関の方へと歩いて行っていた。妛原荘の部屋の中は大量の血汚れている。思わず目を逸らそうと俯いてしまう。左手を見ると、ユミカカちゃんを抱いていた。ユミカカちゃんは私のお気に入りの人形。この子が居てくれるだけで私は少しでも平常心を保つことができる。
「…彁名ハ手間のかカる子だナぁ……」
と父親のバケモノが口を開く。
なんだろう、私のことを言われているような、誰か別の人のことを言っているような気がする。
「こレからハ家族三人で眠りマしょうねェ…」
眠る…?私、眠くない…。2日前から全然寝れてないはずなのに…。木の床を踏んでいるはずなのに、足元に何もないかのような、雲の上を歩いているような不思議な感覚がある……。
…夢見心地で歩いていると、もともとクローゼットだったはずであるあの棚の前についた。
「さァ、彁名…仏壇の中二入ろう……」
嬉々とした表情で|お父さん《ナニカ》が話す。なんでそんなに嬉しそうなの…?
「えっ……な、なんで……?」
思わず問う。|お母さん《ナニカ》がその質問に答える。
「なんデって…「幽霊」はこノ中が一番よク眠れるでしょウ……?」
え…?私まだ死んでないし、幽霊なんかじゃない…!まだ生きていて、これから新しい生活を始めようとしている、立派な人間で…
「……そウだぞぉ、彁名…皆で仏壇デ眠ろウ…!」
なんで…?私まだ生きてるのに…!嫌だ…死にたくなんてない……っ!
そう思っていたそのとき、左に立っていた|お母さん《ナニカ》が天を仰いだ。
「彁あぁ………彁あぁ……あアああアアアぁ……」
そう長く叫び終わった後、彼女の口が耳元まで裂けた。…なんで…?お母さん………?
二人が私を強引に引っ張る。このままじゃ私、死んでしまう………!
「い、いや……離して……!」
その瞬間。腕に大事に抱えていたユミカカちゃんが白く光出した。
(え…ま、眩しい……!)
その光は私の両脇に立っていた悪霊を追い払い…
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…そして私以外の人は誰一人として居なくなった。ユミカカちゃんも一緒に……。
(…あ…あれ……?今…ユミカカちゃんと一緒に消えた……?)
…もしかして。私は一歩青い空間へと近寄る。すると入り口の下の方からユミカカちゃんが顔を出した。いつもの撫でてあげた時と同じように、にこっと笑ってくれた。
ーーばいばい。ーー そう言ったように見えた…その瞬間、周囲から折り紙でできた…幽霊?のようなものが数体、ユミカカちゃんに近寄り…仏壇の扉はバタンと大きな音を立てて閉まった。
(……ユミカカちゃん…助けてくれたの……?)
ユミカカちゃんが、あの悪霊たちを追い払ってくれたんだ。自分の身を犠牲にして。
私は何という理由は無くても、何かに引っ張られるかのように、玄関へと向かって行った。
トイレやお風呂場のあたりにはたくさんの風車や彼岸花を模った折り紙が飾ってある。あとは、見たことのないような漢字の書かれた紙が大量に壁に貼ってある。なんて読むんだろう…?進んで行くと…
お風呂場の前。そこには…折り紙でできた女の子が座っていた。
ー操作方法ー
〈マウス〉
・マウス左クリック:前へ進んだり、話を飛ばしたり出来ます。
〈キーボード〉
・左右矢印キー:左右どちらかに進むことが出来ます。
・Enterキー:話を飛ばすことが出来ます。
……………
`・Rキー:物語をリセットすることが出来ます。`