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【伝えられない想い】2話 重い
わかめスープ
一定のリズムで寝息をたてている。
ブランケットを身にまとい机に突っ伏して寝ているその姿は、いかにも疲れ果てて寝ているようだった(実際そう)。
「…ん…んんっ…」
ふわぁと1つ大きなあくびをして目を覚まし、起き上がろうとすると、なにかがおかしいことに気がついた。体が重い。しかも、座って寝ていたはずの体は、何故かソファに寝転がっているではないか。「?一体どうなって…」そういい足を動かすと、足側から声が聞こえてきた。
「…ん、あ、お目覚めになりましたか?おはようございます」
「りゅ、竜崎…!?何してるんだ…?!というか、なんで僕はソファに……」
竜崎は自分の質問など興味ありませんと言うように、ムクリと起きて、ペタペタと足音を響かせながらいつもの椅子に座った。体育座りのように座っており、相変わらず変な座り方である。まあただ今はそんなことどうでもいい。
「竜崎、お前なんで俺の上に乗っかって寝てたんだ…?」
「さあ、なんででしょう。ま、最近は冷えますしね」
「はぁ?何言ってんだよ。答えになってないぞ」
「おや、賢い月くんなら伝わるかと思ったのですが。私が月くんの毛布のかわりになってあげたのですよ」
「はぁ?!何言ってんだよ!普通に毛布をかけるだけでいいだろ!?」
「はい。なのでブランケットをかけたのですが、やはりこの気温となるとそれじゃ寒いと思ったので私が毛布代わりにと。ええ。ソファの件ですか?それは私が運びました。」
月は言葉を失った。言ってることが滅茶苦茶ではないか。第一、自分が月くんのことを気遣ってあげた、とでも言いたいのか?そこに気遣ってくるならベッドで寝かせてほしい。「…言っとくが、僕がこんな目に遭ってるのは竜崎、お前のせいだからな?」と感謝の言葉も言わずに文句をぶつけるのだった。
「…ご迷惑でしたならすみません。私のせいで」
「え、あ、いやそういうわけじゃ…」
竜崎はしゅんとした顔をして、月のほうを見た。少し罪悪感が残った月の心は、話をかえようと、「りゅ、竜崎。もう4日も風呂に入ってないんだ。お互いそろそろ入りたいと思ってる頃合いじゃないか?」
少々強引に話をかえた。
「ですが私は…」そう言いかけたところで止まった。そして何かをひらめいたかのような顔をして不可解な笑みを浮かべた後、言い直した。
「いえ、そうですね。入りましょう、お風呂」
ほとんど座りっぱなしで痛めた腰を抱え、2人は風呂場へ向かった。
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やがて月が服を脱ぎ始めると、何故か竜崎も服と脱ぎだした。
「…なんでお前まで脱いでるんだ?俺が先に入るから、お前はドアの前で待ってろよ」
「月くんがあまりにお風呂に入りたいというので、私も今すぐに入りたくなってしまいました」
今まで、お風呂に入るときは別々に入っていた。監視をするといっても、月が流石にそれは嫌だと言って、トイレとお風呂は一緒に はいらないことにしてもらったためである。
「私が背中流してあげますから。裸の付き合いですよ」
そう言いながらもうズボンを脱ごうとしていた。月はもう考える余裕がなかった。
「なんだか、今日の竜崎おかしいよ…」
そう独り言をもらすことしかできなかったが、竜崎は気にすることなく裸になり、月の服も脱がそうとしてきたのだった。
わわ!すっぽんぽんだ!!これまだレーティングかけなくて大丈夫よね?