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暁前の微光【2話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
カラ「僕らもした事あったよね、家出。四人で」
刹那、冬の冷たく乾いた風がビュッ……と四人の頬を攫った。
空気が重い。2秒ほどの沈黙。
周「ぁ…はは、そうだっけ___」
カラ「うん。そうだよ、皆んな覚えてないの?」
寺「……」
全員の苦い返答を待って、カラが口を開きかけ__そして閉じる。
何かを言いたそうにこっちをみている。
僕にはその言葉がわかる。
_______覚えてないの________
きっとカラは、あの家出の事を一番、覚えている。
痺れを切らしたのか、もう一度口を開くカラ。
周「やめてよ、カラ。いい思い出じゃないよ。《《あれ》》は____あれはまだ小さい時の話。もう中学になったんだよ。ねぇ……もう忘れよう。」
話を止めようと、周が急かすように言う。
それがいい____とはどうしてもいえなかった。
僕らが覚えてないといえば、それは嘘になってしまう。
だって《《あの日》》の事は、5年が経った今も、鮮明に、何よりも。
覚えている。
「__________覚えて、ない。」
それでも僕は、嘘を吐く。
寺「…!」
周「LOUIS…」
僕のその一言で、ずっと重かった空気が鉛のようにもっと重くなったのが分かる。
寺と周の顔が、それを思い知らせる。
カラ「嘘。」
「……………」
カラ「だってLOUISは、覚えてるでしょ。LOUISは普段嘘をつかないぶん、嘘を吐くのが誰よりも下手。顔が引き攣ってる。僕がLOUISの事、分からないと思うの?」
カラには敵わない。僕がそれを、一番知っているというのに。
何を騙そうとしているんだ、僕は。誰を。
「___うん、ごめん嘘ついた。」
カラ「うん。」
周「私も…実は覚えてる。」
寺「私も。もう、__5年も経つのに…」
「___忘れない。多分、というより絶対。僕らはあの日を《《忘れられない》》。」
《《あの日》》僕らは四人で家を出た。
丁度、雪が降る季節…今ぐらいの時期だった。
その日は、体の芯から凍えるほど、寒かった。
手袋をつけていたのが二人____寺と周。しかいなかったので、全員が片手ずつ手袋をつけて手を繋いで。
学校から帰ったら、すぐにいつもの場所で待ち合わせよう。
嗚呼………そうだ。学校から帰る、確かその時の事だ。
続く
暁〜AKATSUKI〜