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15 隠し続けた学歴
なずな「ふーん、これが心の中ねぇ。暗いな」
とにかく暗い。あと鍵かかってる扉多すぎだろ。
とりあえずかかってないここから行くか・・・。
ガチャ
この部屋は・・・シヴァさんの実家みてーだな。
話を聞いてみるか・・・。
母「賢治、第一志望校はここにしなさい」
賢治「え⁉︎でも俺、飼育員になりたいって前にも・・・!」
母「飼育員なんて汚くて臭い職業、絶対やらないでちょうだい。我が家の恥よ」
父「医者が一番素晴らしい仕事なんだ。俺達は医者一家なんだから、お前も当然医者になってもらう」
賢治「そんな・・・。じゃあせめて、第二志望にここを入れさせてください。もちろん医者の勉強もします」
父「何言ってんだ!医者以外の仕事をしようもんなら、何回でも医大を受けさせて絶対に医者をやってもらうからな」
賢治「わかり・・・ました」
うわぁ、やべーなこの家庭。勝手に志望校変えるとかありかよ?
まぁいい、次はこっちだ。
大体展開は予想つくが・・・。一応見るか。
賢治「嘘・・・」
反応を見る限り、多分医大に落ちたんだな。
賢治「こんなこと言えない・・・。嘘ついて、この家を出るしかない!」
おいおい、そんなことできんのか・・・?
母「どうだった?受かったのよね?」
父「落ちたとかふざけたこと抜かすなら、絶対に家から出さない」
賢治「・・・受かってたよ」
母「そう。ならいいわ」
いや疑えよ⁉︎まぁシヴァさんがそれで助かったんならいいか・・・。
賢治「大学入ったら一人暮らしするよ。だから、家を買うお金をください」
父「わかった。医者になった暁には、毎月10万家に入れろ」
賢治「はい」
隠し切れたのすげーな・・・。
んで、バレないように離れたところに逃げて、じゃぱぱさんと出会ったのか。
どこにそんな根性あるんだよ。
まぁ、心の闇はわかった。あとはこいつを元に戻すだけ、だな。
なずな「よっと」
帰ってきたあたしは、動かなくなった蜘蛛に語りかける。
なずな「シヴァさん、聞こえてんだろ?まぁ何も言わずに聞いてくれや。あんたの昔の話見てきたけど、なかなかに壮絶だよな」
蜘蛛の体にヒビが入った。
なずな「自分で決めた夢を否定され、親の決めたレールを歩かなきゃいけねぇ。そんなの悔しいよな、腹立つよな。あたしはそんなこと今までなったことないが・・・自分がそうなったらって考えると、絶対許せねえ。だからよ、もっともっと有名になって親を見返してやろうぜ。あたしも協力すっからよ」
蜘蛛は消えて、代わりにシヴァさんが姿を現した。洞窟も消えた。気絶しているシヴァさんを俵みたいに抱えて、あたしは家に帰った。