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#04
「な、なに言うてんの!?」
「あはは、冗談や」
くすくすと笑いながら、簓は琥珀の手を引いて歩き出す。
「もう……!からかわんといて!」
「からかってへんて。琥珀とたこ焼きパーティーしたいのは、ほんまやもん。あかんな?」
「あかんってわけやないけど……」
「なら決まりやな!材料買うて、早よ行こ!」
簓は琥珀の手をぎゅっと握り、楽しそうに歩き出した
--- スーパーにて---
スーパーで買い物をする間も、簓は楽しげだ。
「琥珀は、タコ好き?」
「うん」
「ほな、タコは多めに入れよか。あと、俺はチーズも好きやから、チーズも入れよ」
「え、タコとチーズって合うん?」
「合うで!めっちゃ美味しいねん。琥珀にも食べさせてあげたい」
簓は琥珀の好きなものを尋ね、自分の好きなものを嬉しそうに話す。その様子に、琥珀は自然と笑顔になる。
---
簓の家に着くと、琥珀は少し緊張した。
「おじゃまします……」
「おう!いらっしゃい。ここ、俺ん家やで。遠慮せんでええからな」
簓の部屋は、壁にポスターが貼ってあったり、机の上に漫画が積んであったり、簓らしさが溢れていた。
「さて!たこ焼きパーティー始めるで!」
簓が手際よくたこ焼き器を準備し、材料を並べる。
「琥珀、たこ焼き作ったことある?」
「うん、家族でたまに」
「そっか。俺も昔、家族とよう作ってたわ」
簓の少し懐かしむような声に、琥珀は胸が温かくなる。
「ほな、琥珀、タコ入れてくれる?」
「うん」
二人は向かい合って、たこ焼きを作り始める。
「見て見て、簓!めっちゃ上手に焼けた!」
琥珀が嬉しそうに焼きあがったたこ焼きを見せる。
「ほんまやな!琥珀、やるやん!」
簓は琥珀の頭を優しく撫でた。
焼きたてのたこ焼きを、二人で頬張る。
「んー!うまい!」
「ほんまやな!美味しい!」
「このチーズ入りも、めっちゃうまいやろ?」
簓が琥珀にチーズ入りのたこ焼きを差し出す。
琥珀がそれを食べると、とろりとしたチーズが口の中に広がる。
「ほんとだ!美味しい!」
琥珀は驚いたように目を丸くした。
二人でたこ焼きを食べながら、他愛ない話をする。
「そういや、球技大会の時、簓、めっちゃ目立ってたな」
「あはは、せやろ?琥珀にええとこ見せたかったからな」
「もう……」
「でも、一番良かったのは、琥珀が見ててくれたことやな」
そう言って、簓は琥珀に優しく微笑む。
--- タコパが終わって数分後 ---
「琥珀、ありがとうな。楽しかったわ」
「うん、私も。ありがとう、簓」
片付けが終わると、簓は琥珀を家の近くまで送ってくれると言ってくれた。
帰り道、二人でゆっくりと歩く。
「なぁ、琥珀」
「ん?」
「……俺、琥珀のこと、めっちゃ好きやわ」
少し照れたように、簓はぽつりと呟いた。
琥珀は驚いて簓を見つめる。
「急に、どうしたん?」
「いや、なんか、こうやって二人でいてると、改めて思うねん。琥珀と出会えて、ほんま良かったなって」
簓は琥珀の手をそっと握った。
「簓……」
「これからも、ずっと俺の隣におってほしい。あかんかな?」
簓は琥珀の目をじっと見つめる。
「ば……か。そんなん、うちも同じやもん」
琥珀は簓に優しく微笑んだ。
「ありがとう、琥珀」
簓は嬉しそうに笑い、琥珀をぎゅっと抱きしめた。
春の夜風が、二人を優しく包み込む。
これからも、二人の温かい日々は続いていく。
終