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親分の素敵なお料理
久しぶりです。ビーフシチューこれから食べる人は閲覧非推奨です。
「親分」と呼ばれている、猫たちのリーダーが本気で料理をするとき、そこはいわば『聖域』となる。いくら彼女が愛してやまない猫たちも、そこに立ち入る事はできない。
もし猫の手も貸したい気持ちでキッチンに入ってしまえば、そこには普段からは想像もつかないような形相の親分を見ることになるだろう。
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真剣な顔で、小さな手に似合わない大きな肉切り包丁を一定のリズムで動かす。親分____彼女だけで料理をする時は猫たちに任せられない大きな理由がある時だけだ。そして、その度に彼女は真剣に料理に取り組む。それは、料理人としての、親分としての矜持だった。
親分はぱっと見料理人の格好をしているだけの女児のようだが、その帽子の中には黒い猫の耳が、エプロンのフリルの下には同じように黒い猫の尾がある。
親分は、まな板の上の肉を刻み終えると、ボウルのヨーグルトの中から、つけ込まれていた肉のかたまりをまた一つ取り出した。
何を隠そう、これは人肉である。
柔らかい部位を親分直々に厳選し、漬け込み、叩いて思いっきり柔らかくする。そうして美味しいスープで煮込めば、醜かった人間はあっという間に湯気の立つシチューに飲み込まれ、油がキッチンの照明にキラキラ反射するようになる。まるで手足や目や口があって髪の毛がくっついていたことなんて信じられないようなデミグラスソースのいい匂いを纏って人は生まれ変わる。
一口サイズに切ったじゃがいも、人参、玉ねぎを加えて、合計で2時間ほど煮込む。何度も涎を垂らしそうになるのを堪えて、親分は最後まで鍋を見張る。その間猫耳と尻尾は一定の間隔で揺れていた。
「……できた……!」
ついに鍋の蓋を取る。蓋の内側に溜まった水が一斉に逃げ出して、それと同時に胃袋に沁みるような酸味の混じった素晴らしい匂い。
一仕事終えた解放感に包まれながら、一口分を銀のスプーンに掬う。スプーンの中から絶え間なく立ち上る湯気の隙間からデミグラスソースが呼んでいて、勢いよく口に含めばこの世の至高を煮詰めたような味が広がった。
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「出来たよ〜」
キッチンに入っていった時とは一転し、朗らかな雰囲気を纏いながら人肉シチューの大皿を片手に居間に戻ってきた親分に、猫一同は一斉に駆け寄り、猫の声でいただきますを言ってから、仲良くシチューを貪った。
その輪から一人外れて静かにシチューを啜りながら、猫たちを見守る親分は幸せそうに微笑む。
親分直々の料理、それはこの世で最も醜い人間たちの浄化作業とでもいうべきか。
この肉は生前飼い猫を殴った挙句ビニール袋に閉じ込めて殺した。もちろん親分は怒り狂い、その人間を丹念に殺し尽くし、そしてその悪事の償いをするには到底足らないけれど、猫たちのお腹を満たす素敵な味に仕立て上げた。
親分はもう戻っては来ない死んだ子猫に思いを馳せ、心の中で間に合わなかった事を詫び、また肉の大きな塊の乗ったスプーンを口元に運んだ。
美味しい。
猫耳ろりろり神降臨!
元ネタは注文の多い料理店です。別に原作じゃ親分が猫耳ロリかどうかわかんないもんね()特にそうした意味はないですが。
ビーフシチューの作り方を参考にしています。細かい事は知りません。というか、知ってたら怖いですね。
ばいびる〜、飯テロになった?