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又旅浪漫
小綺麗な水源で水を飲む。
やはり山の水はうまいのである。
入る前は山、入った後は森、不思議である。
一呼吸置き空を見ると、
太陽は見上げるまでもない位置で
激しく日光を照らしている。
セミは鳴いていないとは言え、
もうすぐ果実が実る季節。
日が沈むのも早くなってきただろうか。
先程カラスとフクロウの話を聞いた俺は
手短にトカゲと水を済ませ
足早に草を掻き分ける。
鼻がもぞもぞする。
これからとある建設会社へ向かう。
建設会社とはニンゲンのオッサンが
沢山いる所である。
がちゃがちゃとうるさいが、結構安全だ。
そこにいる白ネコにマタタビを届ける。
「うわっ」
俺はバッタのように飛び上がった。
「ヘビかと思えばキュウリかよ。」
きっと畑のニンゲンが乗る鉄箱から
転げ落ちたやつだろう。
ネコである俺には全く価値が無い物だ。
「急がないと夜は怖いぞ」
キュウリの仕切り直しか
リスの話の恐怖心をなくす為か
はたまた残暑の重い足取りの解消か、
俺は自分用のマタタビをぱくっと齧り
目一杯、鼻呼吸で大きく空気を吸う。
ああ。間違いなく完璧だ。といつも思う。
たまらないのである。