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電車に揺られて家へ帰る。
左耳にはイヤホン。
私はいつも、イヤホンは片方しかつけない。
耳が痛くなるし、音が大きすぎるから。
スマホで音楽を選び、再生ボタンを押す。
するとこの前見た映画の主題歌が耳から入ってくる。
このイヤホンは、何年か前に100均で買ったもの。
親が買ってくれなかったから、自分で買った。
音質は少し悪いけれど、聞けるからいい。
イヤホンがないと、暇で暇で仕方がないから。
電車が最寄駅に着き、電車から降りる。
そして階段を降りて改札へと向かう。
周りではカバンにぬいぐるみをたくさん付けた女子高生たちが楽しそうに話していたり、カップルが大人な笑みを浮かべて楽しそうにしている。
ICカードをかざし、駅から出る。
電車に乗っていた時は太陽が出ていたのに、今はもう雲のかたまりに隠れて辺りは少し暗くなっていた。
遠くから大きな音が聞こえ、それが風となってこちらに近づいてくる。
髪の毛は崩れ、イヤホンが耳から落ちそうになる。
目を瞑って歩く。
しばらくすると風はだんだんとおさまり、目を開けると太陽の光が雲の隙間から差して明るくなっていた。
横断歩道を渡る。
まだ昼間だから、夜ほど寒くないし車も少ない。
次の信号が青になるのを待つ。
目の前では木の葉が円を描くようにして舞い、遠くへと飛んでいった。
近くの木からは枯れ葉が落ちてきて、それが私の頬を掠った。
植物のにおいがしたがそれはすぐに消え去り、空気のにおいへと変わる。
前を見ると、ちょうど信号が青になっていた。